有給休暇をとったときの賃金の計算方法は「3種類」もある。問題は目減りするか、しないかだ

Businessmen open a salary envelope that is a Japanese Yen banknote in the office.Businessmen open a salary envelope that is a Japanese Yen banknote in the office.
 

入社してから半年を経過し80%以上の出勤率であれば誰でも発生するという、有給休暇。しかし、それを取得した際の給料の計算方法は3種類あることを知っていますでしょうか?今回、無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者で社会保険労務士の飯田弘和さんが、主に使われる2種類のうち、給料が目減りしてしまう方、しない方の違いについて詳しく解説しています。

有給休暇取得時の「通常の賃金」とは

有給休暇についてのご質問をよくいただきます。なので、今回は有給休暇について話したいと思います。

有給休暇は、入社から6か月経過で、その間の出勤率が80%以上であれば、当然に発生します。そして、発生した有給休暇については、原則として、その労働者の労働日(出勤日)であれば、いつでも使うことができます。

有給休暇を使った場合のその日の給料ですが、労基法上は以下の3つの計算方法があり、事前にどの計算方法にするかを決めておく必要があります。

  1. 平均賃金
  2. 通常の賃金
  3. 標準報酬日額

ただ、実際には、1.または2.によって計算している事業所が殆どだと思います。

1 については、過去3か月の給料の総額と過去3か月の暦日数あるいは出勤日数から計算するため、計算が少し面倒です。

ただ、たとえば、時給のパートさんなどで、曜日によって労働時間が異なるような働き方ですと、どの曜日に有給休暇を取っても支払額に差が出ないよう、1.を使うことが多いです。

ちなみに、月給の場合、有給休暇を取得した日の賃金を控除し、その日の平均賃金を支払うことになります。そうすると、通常は、平均賃金の方が金額が少し低くなるので、有給休暇を取得すると、多少は賃金が減ることになります。

2.の“通常の賃金”ですが、月給者であれば、有給休暇を取得しても賃金が目減りすることなく支払われることになります。

時給者の場合、その日の労働時間分の賃金が支払われることになります。そのため、曜日によって労働時間が異なる時給のパートさんの場合には、有給休暇を取る曜日によって、支払われる賃金が異なることになります。

ところで、この“通常の賃金”には、残業代等の所定労働時間外の労働に対して支払われる賃金は含みません。

要は、“通常の賃金”とは、所定労働日に所定労働時間働いた場合に支払われる賃金をいいます

そのため、3交代勤務やシフト勤務などで、深夜労働(22:00~5:00)が所定労働時間に含まれている場合に、その日に有給休暇を取った場合の“通常の賃金”とは、深夜割増し分も含めた賃金を支払うことになります。

有休休暇については、他にも、もっともっとたくさんのご質問やご相談を受けます。これからも時々、有休休暇について話していきたいと思います。

image by: Shutterstock.com

飯田 弘和この著者の記事一覧

就業規則とは、入社から退社までの「ルールブック」であり、労使トラブルを未然に防ぐ「ワクチン」であり、効率的な事業運営や人材活用を行うための「マニュアル」でもあり、会社と従業員を固く結びつける「運命の赤い糸」でもあります。就業規則の条文一つ一つが、会社を大きく発展させることに寄与し、更には、働く人たちの幸せにも直結します。ぜひ、この場を通じて御社の就業規則をチェックしていただき、問題が生じそうな箇所は見直していただきたいと思います。現役社会保険労務士である私が、そのお手伝いをいたします。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 採用から退社まで! 正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ 』

【著者】 飯田 弘和 【発行周期】 週刊

print
いま読まれてます

  • 有給休暇をとったときの賃金の計算方法は「3種類」もある。問題は目減りするか、しないかだ
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け