風力発電より馬力発電?元自民党の秋本真利議員がワイロの隠れ蓑に使った馬主組合

 

普通では考えられないことが多い秋本議員の馬主組合運営

競馬には「一口馬主」という方式があって、1頭の馬を複数の人で共同購入することができるのです。たとえば、1,000万円で落札された新馬なら、「一口2万円×500口」とか「一口5万円×200口」とかで募集が掛かるのです。もしも2万円払って一口馬主になれば、その馬が稼いだ賞金の500分の1が配当として貰えます。

実際には、入会金や厩務代などの支出もありますし、1レースも勝てずに引退する馬も多いため、馬券を買うのと同じくギャンブルになりますが、凄い成功例もあります。日本馬の最多獲得賞金19億円を稼いだ三冠牝馬のアーモンドアイは、もともとは「一口6万円×500口」で馬主を募集した3,000万円の馬だったのです。もしも30万円払って5口の馬主になっていたら、19億円の100分の1、1,900万円の配当があったのです。

一方、1頭の競走馬の維持費は、厩務、飼料、調整などで、中央競馬(JRA)で月60万円、地方競馬で月30万円が最低ラインです。つまり、中央競馬の馬を1頭持っていたら、何もしなくても年間720万円以上は掛かるので、少なくとも、それ以上の賞金を稼いでくれないと赤字になってしまいます。そのため、なるべく多くの馬を所有したほうが有利なのですが、よほどの大金持ちでもない限り、個人馬主には限界があります。

そこで、組合馬主なのです。仮に10人集まって組合を作れば、出資額は10倍になり、所有馬の数も10倍になるので、たとえまったく勝てない馬が数頭いても、稼いでくれる馬の数も多くなります。そして、リスクは軽減され、1人当たりの配当が安定へ向かいます。つまり、「ギャンブル」より「投資」に近づくのです。

しかし、秋本議員の運営を見てみると、「投資」とは言えないような、普通では考えられないことが多いのです。たとえば、秋本議員の「パープルパッチレーシング」が所有していた「パルタージュ」という馬がいます。トゥザワールド産駒のまあまあの血統ですが、もともとは一口馬主で有名なキャロットファームの持ち馬で、「一口3万円×400口」の1,200万円の馬でした。

パルタージュはJRAでデビューしましたが、2021年10月16日の東京の新馬戦で18頭中10着、同年12月25日の2歳未勝利戦で16頭中7着、2022年2月19日の3歳未勝利戦で16頭中15着、同年5月22日の3歳未勝利戦で15頭中12着と振るいませんでした。その上、このレース後に「右第一指骨近位部剥離骨折」が判明して中央の登録を抹消されたため、一口馬主全員に出資金が返還され、ファンドは解散となりました。

そして、この馬を買ったのが、秋本議員の「パープルパッチレーシング」だったのです。芝もダートもまったく走らず、軽傷とは言え骨折した馬ですから、当初の1,200万円よりグンと安くなります。秋本議員はこの馬を買い、地方競馬(盛岡)に登録し、2カ月後の2022年7月19日のレースに使ったのです。すると、2着に入って賞金140万円、続く7月31日のレースでは1着になり賞金400万円。

ここまでは、中央でダメだった馬を地方へ出し、勝ち癖をつけて中央へ戻す…という良くある作戦のように見えます。しかし、ここからが不思議なのですが、秋本議員は今年の1月にパルタージュの登録を盛岡から名古屋へ移し、1月から3月までの5レースで1着2回と2着2回、計941万円の賞金を稼ぎました。それなのに、3月末に突然の登録抹消。

まだ4歳でしたが、牝馬なので、もしかすると繁殖のために引退させるのかと思いきや、登録は抹消したのに引退させず、そのままずっと所有していたのです。故障を発生したわけでもないのに、レースに使わずに所有し続けるということは、毎月の維持費だけが嵩(かさ)んで行きます。そして、今回の事件が報じられる1週間前の7月27日、秋本議員は突然、パルタージュを第463回サラブレッドオークションに「現役競走馬」の枠で出品したのです。

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