元お天気お姉さんが解説。なぜ台風は「強く、遅く」なったのか?

Naha,,Okinawa,-,08,01,2014:,Summer,Typhoon,Hitting,Okinawa
 

沖縄や九州に長く影響を及ぼした台風6号に続き、時速10kmから15kmほどで移動を続けた台風7号が日本を襲い、お盆の列島は大混乱となりました。どちらの台風も速度が遅く、勢力をあまり落とさず異例のコースを辿りましたが、こうした傾向は今後も続きそうです。今回のメルマガ『デキる男は尻がイイ-河合薫の『社会の窓』』では、気象予報士で『ニュースステーション』のお天気キャスターを務めていた河合薫さんが、迷走する台風が増えている理由を説明。地球温暖化の進行で、台風の威力がますます強くなることを覚悟して、「早めの避難」などの対策が必要になると伝えています。

台風は強くて、遅くて、長くなる?

台風7号が予想よりも遅く、西側にずれてゆっくりと日本列島を北上しましたが、みなさんご無事だったでしょうか?本メルマガでは温暖化や環境問題にも度々言及していますが、今回は「台風と温暖化」についてあれこれお話しします。

ご承知のとおり私は元お天気ねーさんです。そんな私が台風の異変を最初に感じたのは、2002年以降だったと記憶しています。番組に出演する間際まで台風の位置や周辺の雨雲、風速などをチェックするのですが、関東沖に接近した台風の雨雲の美しさに驚愕したのです。

「美しい」などという表現は適切ではないかもしれません。でも、やはり美しかった。なにせ気象図鑑などで見た「レインバンド」がくっきりはっきりとレーダーにうつっていたのです。

レインバンドとは、台風の中心に向かって伸びる積乱雲の列の呼び名で、スパイラルバンドと呼ばれることもある「渦を巻くような雲列」のこと。みなさんも日本列島から離れた海上で気象衛生が捉えた画像で、「台風の目」がくっきりと見えるのをテレビなどで見たことはあると思います。

台風の目がはっきりしているのは、遠心力によって中心に風が吹き込めなくなっている状態です。この時、台風の目の周りをぐるぐると取り巻くようにできるのが、レインバンドです。

台風を発達させるのは海上の水蒸気です。台風は水温が27度近くないと発生しません。一方で、水温は日本列島に近づくにつれ低下します。それは台風のガソリン=水蒸気が減ることを意味します。台風の元気がなくなれば、中心付近の風も弱まり目がはっきりしなくなる。目の周りのレインバンドも崩れた形になる、が「それまでの普通」でした。

ところが、その時のレーダー画面には、全く雲のない「台風の目」の周りを、きれいな隊列をなした雲が何重にもわたってうつっていました。当時は勢力の強い台風が接近すると「戦後最大級の~」という言葉が使われていましたが、その時も「戦後最大級の台風が関東に上陸する予想」になっていました。

レインバンドが明瞭ということは、台風の中心気圧も低いし風も強い。豪雨に加えて突風など風の被害も出る。実際、その時はかなりの突風が都内でも吹き荒れ、外から中継するのも怖かったです。

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