ストライキの効果を検証する 米国の事例から
米国では、資本家に対抗できるべく、規模を最大化した産業別組合(職種・熟練度に関係なく、同じ産業に従事する労働者によって、企業の枠を超えて組織される労働組合)を結成し、経営陣にモノ申す存在となっていきます。
では、資本家と対峙する産業別組合のストライキが米国でどのような結末を迎えたか?見てみましょう!
2011年米国の大衆デパートメイシーズは旗艦店(そごう西武の池袋のような売上高を稼ぎ出すお店ともいえる)を含む、ニューヨークの4店舗で4,000人の産業別組合に属する組合員が、直近の同社の売り上げ増の収益を労働環境改善に使うべきだと1972年のデパートで初めてのストライキ実施をにおわせ、2006年合意の雇用契約が一向に更新されていない件について、経営陣に提言しました。
交渉の中身は、賃金(時給)、週労働時間(福利厚生、健康保険が適応されるための週労働時間の短縮)です。
メイシーズの経営陣の回答は、デパートの優良企業である自社のプライドをかけ、5年間新たな労働条件で更新することに合意します。
2011年はリーマンショック後の景気後退の最中であったことを考慮すると、米国ではストライキが伝家の宝刀になっているのがわかります。
もし日本の企業別組合がストライキを実施したとしたら?ストライキ行使権の行使=ストライキの実施は米国のように世の中が後押しした世の中をよくするための伝家の宝刀だったと言われるでしょうか?
ストライキが持続可能な経営を促す?としたら!?会社は誰のものになるのか?
今の日本の労働組合が、ジョブ型に移行するための制度(時給で支払う公平で平等な制度)を確立しない会社を相手に、会社は従業員のものであると現場従業員の想いをストライキ行使権という切り札の行使をにおわせ労働者の権利を主張したら、会社の存続を第一に考える経営陣には、現場従業員の想いは届かず、
その結果、日本の労働組合には米国のようにストライキ実施の大義名分がないことが露見しストライキ行使権は伝家の宝刀にならない可能性は大です。
上述のように日本企業のストライキ行使権が、伝家の宝刀にならないと言い切れるのは日本の労働組合が、会社は従業員のものという前提に立ち、経営陣にストライキ実施をにおわせ交渉を行っているとしたら、の話です。
資本主義国家の日本ですから、会社はもちろん株主のものです。
しかし、日本の組合が、会社は世の中のものでもありそうなれば顧客は会社を支持する=持続可能な経営が可能になる!と経営陣に提言できたとしたら米国流ストライキとは異なる日本流ストライキの実施をにおわせることに組合が存在する大義が発生するでしょう。
持続可能を標榜する会社には、その将来性を見込んだ投資マネーも勿論流れ込みます。
労働組合には経営陣に経営戦略を提言することはできません。が、今回のストライキ行使権というカードをどう切るか?カードを切らなくても、カードを切るとにおわせた先に世の中が、納得する大義が存在していることを日本では30年ぶりのストライキの実施が示唆しているのです。
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