そもそも「働く」という行為は、人が成長し、成熟するきっかけを得る最高の手段です。「まさか」の出会いが、潜在能力の引き金を引くのです。
全く興味もない仕事を任され、ブーブー文句をいいながらもやっているうちに面白くなることは往々にあります。自分も知らなかった自分の潜在能力に気づくこともあるし、苦手な人と「仕事だから仕方がない」と関わっているうちに好きになることだってある。「私」は「私」が思うほど「私」のことを知りません。その「まさか」が、内定者オリエンテッド、によって消えてしまうのではないでしょうか。
私が新卒社会人を対象に、入社3ヶ月前から、入社後1年後まで行った縦断的調査では、入社後の適応にもっとも影響するのは、入社前のキャリア・レディネスだとわかりました。
どんな会社で、どういう人たちが働き、どのような方向を目指しているのか?自分がその会社のメンバーになるには、何が必要で、何が足らないのか?を現場=会社に行き、人=会社の人に会い、大学在学中からきちんと準備する。これが「キャリア・レディネス」です。
準備して挑むからこそ、モチベーションも上がるし、周りもサポートできる。そして、「妄想の世界」ではなく、実際の現場で学び、現場で悩み、現場で熱くなる経験をしてこそ、人は成長します。
「仕事っておもろい!もっともっと成長したい!」という感情は、協働作業が不可欠です。理屈じゃない、しんどい、でもがんばりたい!と、能動的に動く社員をつくるのは、失敗であり、励ましであり、「私」のあきらめない気持ちです。
元をただせば、すぐ辞める若者問題は大学のキャリア教育に大きな原因があるので、会社側が「手取り足取り攻撃」をせざるを得ないのは理解できます。育った時代が違えば、ライフスタイルや価値観は大きく変わるのもわかります。
それでもやはり、時代変われど、人の心の奥底は変わりません。フェイスtoフェイスで、若者の意見を聞くことは大事ですが、同時に自分の人生に責任を持つ覚悟を、大人たちには教えてあげてほしいと思います。みなさまのご意見、お聞かせください。
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