2.国が一方的に保険料額を決めてしまうと支払えない人への配慮ができない…ならどうするか。
そうすると所得が低い場合は納められないという人も当然現れてきます。
所得が低い場合というのは、単に給料が低いというだけでなく、病気や怪我で労働ができないとか突然の災害で財産を失ってしまったというような本人の力ではどうしようもないケースもあります。
よってそのような場合を想定して、国民年金保険料には免除という制度が設けられています。
国側で一方的に保険料額を決めてしまったから、もしそれを払うのが厳しいなら免除を利用してくださいねという事で、国民年金が始まった昭和36年4月から導入されました。
当時は所得税が払える人は国民年金の被保険者となる人の約2割程度しかおらず(被保険者3000万人ほどのうち600万人ほど)、そのように大半が保険料が払えない人が想定されていたなら、給与に比例した保険料を取ってくれればいいじゃないかという声もありました。
そもそもそんなに所得が低い人が多いなら国民皆年金なんて不可能だろうとも言われました。外国の専門家からは単に費用ばっかりかかるだけだと冷ややかに見られました。
とはいえ厚生年金や共済年金、恩給から外れていた大半の国民は自分たちにも年金を作ってくれという声が強く、全ての人を年金に加入させ、将来は誰もが年金を受給するという制度を実現させました。
核家族化が進む中、扶養する家庭の力が弱くなっていく上ではどうしても国が面倒を見る必要が出てくるからですね。
しかしながら、国民年金のみの加入者というのは多くが農家や自営業などの正確には所得がわからない人がほとんどを占めていたので、サラリーマンのように毎回の給与支払いがわかってそれから保険料を徴収するのとはワケが違いました。
今現代の令和でも会社で働いてる人以外の正確な所得がよくわからないのに、今から60年も前なんてわかるはずないですよね。
だからあれからずっと国民年金保険料は所得にかかわらず定額保険料を支払ってもらうというやり方をとっています。
先ほども申しましたようにそれだと支払いが困難な人は困るので、そういう人は免除をしてもらって、もしその後に払えるようになったら払ってくださいという事になりました。
免除にしたところは過去10年以内であれば追納ができるので、その間に払えるようになったら払ってくださいよと。
しかし、免除にしたまま結局払わなかった場合は年金受給資格期間の25年(平成29年8月からは10年)には組み込み、また、国が国庫負担(税)を3分の1投入しているのでその税金分に相当する年金は受け取れるという仕組みになりました。
平成21年4月以降の期間は国庫負担が3分の1から2分の1に引き上がりました。