国民年金の「免除期間が多い人」はどのくらい年金が少なくなるのか?

 


まず年金記録をまとめてみます。

・未納期間→平成14年2月から平成15年7月までの18ヶ月

・学生納付特例免除→平成15年8月から平成18年3月までの32ヶ月(年金には反映しない)

・納付→平成18年4月から平成25年6月までの87ヶ月

・全額免除→平成25年7月から平成27年6月までの24ヶ月(老齢基礎年金の2分の1に反映)

・4分の3免除→平成27年7月から令和6年6月までの108ヶ月(老齢基礎年金の8分の5に反映)

・厚年期間→令和6年7月から令和24年1月までの211ヶ月

また、老齢の年金を受給するためには年金受給資格期間10年以上(120ヶ月以上)ないといけないですが、A太さんの場合は未納期間18ヶ月を除く462ヶ月間あるので満たしています。

これで65歳からの年金総額を計算してみます。

・老齢基礎年金→令和6年度満額816,000円(令和5年度に67歳までだった人)÷480ヶ月(国年加入上限)×(納付87ヶ月+厚年211ヶ月+4分の3免除108ヶ月÷8×5+全額免除24ヶ月÷2)=816,000円÷480ヶ月×377.5ヶ月(小数点3位未満四捨五入)=641,750円

・老齢厚生年金(報酬比例部分)→平均標準報酬額58万円×5.481÷1000×211ヶ月=670,765円
(差額加算は微額なので割愛します)

よって、年金総額は1,312,515円(月額109,376円)

というわけで、免除期間がやや多かったり未納期間も少しあったので老齢基礎年金が満額よりも20万近く少ないですが、実務上はもっと免除期間が多い人がいるので今回はまだマシな方でしたね^^;

ちなみにもっと年金を増やしたい場合は、免除期間は過去10年以内は追納して保険料を納める事ができますので、積極的に追納を利用するといいです(未納期間は過去2年1ヶ月以内)。

なお、追納が3年度以前の場合は当時の保険料よりやや高い保険料を支払う必要があります(利息みたいなもの)。古い保険料になればなるほど当時の保険料より高めになります。

追納する場合は一番古い期間から納める必要があります。

あと、60歳から65歳までは国年加入の最大480ヶ月になるまで国民年金に任意加入する事もできます(厚年加入中は不可)。

厚生年金は480ヶ月縛りはなく最大70歳まで加入できるので、それにより厚生年金額が増加します。

※追記
4分の3免除はどうして老齢基礎年金の8分の5に反映なのか。

全額免除は国庫負担(税)が2分の1投入されていますので、保険料を全く支払わなくても老齢基礎年金の2分の1がもらえます。

国が2分の1を税で負担し、もう2分の1は個人の保険料を支払って満額の老齢基礎年金になります。

個人が払う保険料を2分の1として、それを4分の3免除するという事は4分の1は払うという事。

そうすると個人が払う分は2分の1×4分の1=8分の1となり、国の負担2分の1+個人が8分の1=8分の5となる。

では本日はこの辺で。

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佐賀県出身。1979年生まれ。佐賀大学経済学部卒業。民間企業に勤務しながら、2009年社会保険労務士試験合格。
その翌年に民間企業を退職してから年金相談の現場にて年金相談員を経て統括者を務め、相談員の指導教育に携わってきました。
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