しかしながらどうして厚生年金は20年以上の期間があると配偶者加給年金という家族手当のようなものが加算されるのでしょうか。
これは昭和61年3月31日までの旧年金時代まで遡る必要があるのですが、旧年金時代の厚生年金の考え方は夫が外で働いて厚生年金保険料を払い、妻は家事をやるという家族の役割分担が色濃い時代でした。
当時のサラリーマンや公務員の夫の専業主婦は国民年金には加入する必要がなく、本来は強制加入なのですが強制加入にはしていませんでした(自分の意思で任意に加入する事はできた)。つまり専業主婦は将来は無年金で構わないという考えでした。
なぜかというと夫が厚生年金を受給するようになれば、その厚生年金で妻の生活費も賄うというものだったからです。
厚生年金は昭和29年改正時に世帯をひっくるめた年金であるという制度になったので、夫が厚生年金を受給するようになった時に妻がいたらその妻の生活費分として加給年金を付けますねという事になりました。
夫婦の老後は夫に支給される厚生年金+加給年金で過ごしてくださいと。
旧年金時代は妻が存在する限り、ずーっと加給年金が付くというものでした。現在は妻が65歳になると加給年金は消滅しますけどね。
ちなみに旧年金時代の厚生年金というのは最低でも20年以上加入しないと貰えないというものだったので(他の年金制度の期間と合わせて25年あれば加入した厚年期間分は貰えたりもできましたが)、その条件が昭和61年4月1日以降の新年金制度になった以降も引き継がれています。
20年以上厚年期間があれば加給年金を付けた厚生年金を支給するというやり方が引き継がれています。
余談ですが、妻が無年金の状態で夫が亡くなったら妻の生活はどうなんの!?と思われますが、そこは遺族年金が支払われるので妻の残りの人生は遺族年金で生活してくださいという流れになっていました。
遺族年金は老後保障の性質も強いので、65歳以降の年金の受給の仕方では老齢の年金と遺族厚生年金の両方を受給するという方法が例外として認められているわけです。