中日・根尾が戦力外の危機。内野も外野も事実上の“クビ”、「投手専念」に隠された本当の意味

2022.06.14
by たいらひとし
akiraneo
 

中日の立浪和義監督(52)が13日、札幌市内で取材対応し、根尾昂外野手(22)をリーグ戦再開から投手登録に変更する考えを明かした。指揮官はその理由を「投手の方が彼の能力が生きる」としたが、野手から投手に転向するのは異例。その決断の裏には、「内野も外野もダメ、生き残るには投手の道しかない」という厳しい現実がありそうだ。

甲子園のヒーローが選手生命をかけて投手に転向

投手、野手、バッティング……高校時代は「三刀流」と呼ばれて活躍した選手がその器用さゆえに迷走している。大阪桐蔭の甲子園3連覇を牽引し、2018年.中日ドラゴンズにドラフト1位指名で入団した根尾。

昨年プロ3年目にしてやっと72試合出場できたものの、期待の打撃が打率.178とふるわず、「今年こそは」と挑んだ今シーズンだったが結果が出ない。

最大のライバルである京田陽太選手が2軍調整中という絶好のチャンスを根尾は生かせなかった。言ってしまえば、根尾は本職であるショートで烙印を押されてしまったのだ。

出場機会を増やすために挑戦した外野手争いにも敗れ、根尾は「内野でも外野でも使えない選手」ということになってしまった。

立浪監督は「投手の方が彼の能力が生きる」と理由を説明したが、それは表向きの話で、なんてことはない、内野も外野もクビとなり、残るは投手として生きる道しかないという結論だ。

根尾は5月8日のウエスタンリーグでプロ初登板すると、1軍に昇格。5月21日の広島戦、28日のオリックス戦に登板し、いずれも1回1安打無失点に抑えている。

確かに「いきなり150キロが出る」というのは素晴らしい才能。「投手でいけるかも」と思ってしまうのはわかる。しかし、だからといってそんな簡単にすぐ投手になれるとは想像しがたい。

厳しいことをいえば、「打者としては限界」と立浪監督は悟ったということだろう。果たして、この決断が吉と出るのか凶と出るのか。一番不安に感じているのは根尾自身だろう。

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根尾の最大の弱点は真面目で器用するぎるところ

中日OBの落合博満氏は入団したばかりの根尾のバッティングを見て「あんなので打てるわけがない!」と酷評していた。

そのうえで「バッティングを上達したければ、コーチの言うことをけして聞いてはいけない」と指摘。落合氏はコーチの助言をうのみにせず、自分自身のバッティングを考えぬき、独自の打法や練習方法を確立して、偉大な成績を残した。

根尾選手は器用な上に性格は真面目で素直。指導者の言葉に従って、外野に行ったり、ショートに行ったり、あげくには投手までと、迷走している感は否めない。

現在高卒4年目の根尾。広島の小園やロッテの藤原など1軍に定着して活躍する選手も多く、来年には大学を経由した選手たちがドラフトで入団してくる。

いつまでも新人扱いされる甘い世界ではなく、今年何らかの結果を出さなければ球団から見限られる可能性もゼロではない。いくらドラフト1位とはいえ、このままでは「戦力外」という判断がくだされてもおかしくはない。

投手転向といえば、日ハムの新庄剛志監督は阪神時代に、故野村克也監督にすすめられ、オープン戦で投手として投げている。「このままでは投手にさせられる」と思ったという新庄氏は怪我だとウソをついて登板を拒否し、投手転向を免れている。

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野村監督は新庄氏は何を言っても変わらないと指導を断念し、そのまま自由なプレイをして野球界に独自のポジションを確立した。中日OBの谷繫元信氏も「真面目すぎる」と苦言を呈される根尾、一流の選手になるには自分なりのこだわりや頑固さも必要かもしれない。

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