英語の筆記体、実は米国人でもけっこう書けないらしい

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1970年代後半生まれが中学生になった頃、2002年にいわゆる「ゆとり教育」の開始とともに必修ではなくなったという英語の筆記体。日本にいる限りは筆記体を読み書きできなくともさして問題はないでしょう。では、英語を母国語とするアメリカではどうなのでしょうか。シアトル在住の世界的エンジニア・中島聡さんに聞いてみました。

 

筆記体で書くのは自分のサインだけ、という人が大半

Question

shitumon

日本の若い人は筆記体を習っていないので読めないし書けないらしいが、アメリカのように各種書類に印鑑ではなく署名(サイン)する文化圏での実情は?

最近知ったのですが、日本の若い人は英語の筆記体(Cursive Writing)を習っていないので、読めないし、書けないそうです。

そういえば、昔はTOEICにも筆記体の問題があったような記憶がありますが、今は出題されません。

PCなどが普及し、文字を書く機会が減ったせいもあるかと思います。日本語の「くずし字」は流麗で、すごい(ある意味、芸術に近い)と思いますが、書ける人はかなりの年輩の人(特に女性)か、書道関係者くらいしかおらず、生活の上では絶滅寸前です。英語の筆記体もそういう流れになっているのでしょうか。

しかし、日本のように印鑑でなく、英語圏のように署名のときは、筆記体が使えないと困る(ブロック体は真似されやすい)ようにも思います。米国での実情はどんなものでしょう?

中島聡の回答

米国も同じような状況です。小学校で筆記体は教えますが、実際には「教える」というよりも「存在を知ってもらうために体験させる」ぐらいの存在でしかなく、その後の高等教育では一切必要としません(逆に、手書きのレポートは受け付けてくれないケースがほとんどです)。

そのため、大人になった時にはすっかり忘れてしまっており、筆記体で書くのは自分のサインだけ、という人が大半だと思います。

パソコンが普及する前からタイプライターが幅広く使われていた国なので、筆記体で文章を書くという習慣はかなり前からなくなっていたのだと思います。

 

nakajima 『週刊 Life is beautiful』
著者:中島聡
マイクロソフト本社勤務後、ソフトウェアベンチャーUIEvolution Inc.を米国シアトルで起業。IT業界から日本の原発問題まで、感情論を排した冷静な筆致で綴られるメルマガは必読。
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