現在の社会現象
米英など西欧では新自由主義という政策で、あまりにも格差社会が行き過ぎたため、ポピュリズムが台頭してきた。米国の場合、ドナルド・トランプというデマゴーグ(扇動家)が共和党の指名候補になり、いままでないがしろにされてきた白人低所得者層の反撃だと言われている。
また英国では6月23日にEU離脱を巡る国民投票が実施されるが、離脱シナリオでは英国経済は混乱し、結果として損するのは庶民だということは最低限の経済観念を持っている人なら誰にでもわかることだが、移民に職を奪われていると考える英国の低所得者層の排他主義や「エスタブリッシュメントにイッパツ喰らわす」というリベンジ心理が、離脱という、自分で自分を痛めつける方向へ英国の有権者を向かわせている。
フランスでも極右政党が台頭しているし、ドイツでも難民受け入れを拒否する極右政党が出てきた。このように貧富の差が限界を超えると、社会は新自由主義を否定して、独裁国家に逆戻りしてしまうことになる。自由経済が富の配分に失敗したとき、万人に安定を約束する独裁者が登場するのである。
日本の進むべき道
日本も新自由主義を掲げて、改革を主導した竹中さんがいるが、このような新自由主義の行き着くところが米英の最近の政治状況からわかり、日本では、早期に破棄するべきなのである。
理想は、中庸である。社会主義でもなく、新自由主義でもなく、平等な社会でもなく、格差を広げないような施策と少数でも衣食が足りなくなることがないような社会保障制度がある社会なのだ。
このためには、累進課税制度と消費税増税などを通じて、財政の持続可能な安定を図ることである。富者が貧者に対する寄付を行うことを奨励することも必要である。
経済成長ではなく、安定した社会システムを目指した国民の生活を守る経済であるとみるがどうであろうか?
そして、日本人の安定した社会や秩序を世界の規範とする必要がある。規範になったら、それを世界に広げるべく、日本人は世界に出ていくべきである。
さあ、どうなりますか?
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『国際戦略コラム有料版』より一部抜粋
著者/津田慶治
国際的、国内的な動向をリアリスト(現実主義)の観点から、予測したり、評論したりする。読者の疑問点にもお答えする。日本文化を掘り下げて解析して、今後企業が海外に出て行くときの助けになることができればと思う。
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