【書評】長寿の職業No.1。なぜ寺の住職は健康で長生きできるのか

 

さっそく、ポイントを見ていきましょう。

老人は「寿命を引き延ばすにはどうすればいいか?」と良寛さんに聞いたのでした。ここぞとばかりに良寛さんはきっぱり言い切ります。「死なない工夫じゃ」

「真面目なる生涯を送ること」(内村鑑三)、「死の恐怖の克服」(岸本英夫)の二つが、永遠の命を感じるための秘訣。しかし、そのためには自我を滅する必要があり、それこそが良寛の語る「死なない工夫」なのです

良寛(七四歳)さんが知人に宛てた、当時起きた地震被害の見舞いの手紙があります。

 

「災難に逢う時節には、災難に逢うがよく候。死ぬ時節には死ぬがよく候。是はこれ、災難をのがるる妙法にて候。」

 

災難が起きたときは、事実としてありのままに受け止めればよい。死ぬときも、事実としてありのままに受け止めればよい。災難に遭えばつらいが、そのつらさと一つになって生き抜く。死が迫ったとき、死と一つになって死ねばよい。苦悩に惑わされないよう生き、死ねばよいというのです

◆長寿の高僧たちが実際に行った「長寿の工夫」

  1. 呼:呼吸を整えること
  2. 食:食事の節度
  3. 心:心の切り替え。感情のコントロール
  4. 生:生活を整える。そのために毎日、決まったルーチンをセットして繰り返す
  5. 経:お釈迦さまの教えを、声を出して読む

感情的になると、身体はどんどんダメージを受けます。イラつきや怒りの感情が起きると、血圧が上がり、心臓がどくどく早く打ち、身も心もストレスに支配されて疲れ切るだけです

沢庵は物に心を留めないことが肝心と教えました。雨を避けようという心を一切とどめず、さらりと雨と一つになる行動こそ沢庵の早業

紫山老師が101歳まで長寿を保たれたのは、中年ごろから、何事に対しても「思い替え」をするようになったからだと、紫山老師のお弟子さんが言っています。どんなことにも感謝して合唱しました。たとえば空が曇っていたときだって「いい曇りだな」、雨が降っていても「いいお湿りだな」と即座に思い返しました

仏教における遊戯(ゆげ)とは、何かにとらわれることなく、遊び楽しむ(自由に生きる)ことを言います。遊ぶことも遊び、働くことも遊び、どんなことも遊ぶのです。このように悟った高僧には、遊びと仕事の区別がありません。そしてこの「遊び」が長寿へ結びついているのです

土井の父は66歳で亡くなりましたが、本書の「長生きの秘訣」と照らし合わせると、真逆のことをやっていたと思います。

「原因と結果」とはよく言ったものですが、長生きにもやはり「原因と結果」はあるのですね。

生涯現役でいるために、また子や孫に迷惑をかけないためにも、ビジネスパーソンには読んでいただきたい一冊です。

image by: Shutterstock

 

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著者はAmazon.co.jp立ち上げに参画した元バイヤー。現在でも、多数のメディアで連載を抱える土井英司が、旬のビジネス書の儲かる「読みどころ」をピンポイント紹介する無料メルマガ。毎日発行。
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