1階にはマウスなど小動物の飼育室がぎっしり並んでいる。その一角に動物実験センターと感染実験室、通常実験室があり、それぞれ洗い場が設置されている。2階はほとんど講義室。3、4階は講義室と実習室。
注目すべきは5階だ。教員室、学生室と研究スペースになっているが、通常は安全性の面から別棟になっているはずのBSL3(バイオセーフティレベル3)の実験室が、レベル2実験室の隣に配置されている。
BSL3は、生死に関わる重篤な病気を引き起こすが、ヒトからヒトへの伝染はない黄熱ウイルス、狂犬病ウイルスなどグループ3に分類される病原体を取り扱える実験室だ。
ヒトからヒトへ感染するエボラウイルスなどBSL4の施設は日本では国立感染症研究所と理化学研究所筑波研究所にしかなく、筑波の場合は周辺住民の反対でBSL3までしか使用されないという。
日本の大学でBSL3施設を持っているのは
- 北海道大学
- 東京大学
- 長崎大学
- 京都産業大学
- 大阪大学
- 大阪府立大学
- 鳥取大学
- 佐賀大学
- 麻布大学
で、獣医学部なら必ずこの施設があるわけではなさそうだ。
危険なウイルスを扱い、なおかつ完全に密閉するというのは、研究実績のない大学には、かなりハードルが高いといえるのではないか。
しかし、加計学園の獣医学部が、先端ライフサイエンス研究、越境感染症や人獣共通感染症の水際対策を掲げている以上、BSL3実験施設は欠かせないということになるのだろう。
そこで、設計図面におけるBSL3実験室に目をこらした。
学生室と研究スペースにはさまれたP2実験室(BSL2)の一角に、ユニットの部屋がつくられ、「クリーンルームP3」と記されているのがそれである。ただし、図面上、BSL3らしい設備が確認できるのは「エアーロックルーム」と記載されていることくらいだ。
「エアーロックルーム」はバイオハザード対策の装置で、気密構造のドアと、室内の負圧化によって汚染の拡散を防ぐという。