繰り返される「遺憾の意」。安倍政権の北朝鮮政策は、正しいのか?

kitano20170906
 

度重なる北朝鮮の挑発行為に対して、日本政府は相も変わらず「遺憾だ」「抗議する」と言うばかり。ノロノロした対応にしびれを切らしている方も多いのではないでしょうか。しかし、無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者で国際関係研究者の北野幸伯さんは、「この対応は国際法に則ったものあり、北朝鮮を追い込む一番の近道である」との見方を示しています。

安倍政権の北朝鮮政策は、正しいのか?

皆さんご存知のように、北朝鮮は、8月29日、北海道上空を通過する弾道ミサイルを発射した。9月3日、核実験を行った。

その後の流れは、いつもと同じ。日本政府高官は、「許しがたい! 断じて抗議する!」と言う。でも、何の効果もなし。その後、国連安保理が招集され、非難する。何の効果もなし。制裁が話し合われて、大抵は中国とロシアが反対。それでも、徐々に強化されている。しかし、北の態度は、変わるどころか、ますますアグレッシブになっている。こういう現状を見て、不満を抱いている人も多いのではないでしょうか?

とはいえ、この「遅々とした歩み」が、実は「最善の道」なのです。なぜ?

国連安保理の欠点

全世界のほとんどの国が加盟している国連。国連の中で、「強制力」をともなう決定が下せるのは、安保理だけです。

しかし、欠点がある。国連安保理には、「拒否権をもつ常任理事国がいる。アメリカ、イギリス、フランス、ロシア、中国。これらの国が悪いことをしても、国連安保理は、制裁できない(悪いことをした国自体が、必ず拒否権を行使するため)。

大国は、国連安保理を無視できるか?

それで、リアリストたちは普通、「国連なんて意味ないね!」と言います。一理ある。

ところが、どうも「国連安保理」を無視すると、影響が甚大みたいなのです。そのいい例が、アメリカのイラク攻撃です。アメリカは、「フセインのイラクには大量破壊兵器がある!」と主張して攻撃を開始。この時、国連安保理を無視して始めた。なぜ?

常任理事国のフランス、ロシア、中国が、イラク攻撃に反対していたから。そして、この件では、仏ロ中が正しかった。というのも、結局イラクには大量破壊兵器が存在していなかった」から。この戦争、今となっては、「完全に失敗だった」と結論が出ています。

当時から、たとえばジョージ・ソロスが、戦争に反対していた。あるいは、リアリズムの大家ミアシャイマーさんも反対。世界最高の戦略家ルトワックさんは、イラク戦争について、「日本の真珠湾攻撃に匹敵する大失敗」と断言しています。

アメリカは、このバカげた戦争でいろいろなものを失いました。一番大きいのは、「アメリカは正義の味方という宗教を崩壊させたことでしょう。「アメリカは、自由と民主主義を守る正義の味方だ!」。これは、移民国家・多民族国家・多宗教国家アメリカを一つにまとめる「宗教」です。ところが、アメリカは国際法に違反し、イチャモンをつけて戦争を開始したことで、「正義の味方をやめる結果になったのです。

その後、アメリカはより慎重になり、以前よりも国連安保理を重視するようになった。しかし、「時すでに遅し」ですね。「正義」と「大義」を失ったアメリカは、急速に力を失っていきます

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