富士通もついに白旗。国内携帯メーカーの事業撤退が止まらない

 

一方で、こうした状況を是正するために総務省が動き出しました。公然とアップルを標的にするとは言っていませんが、衰えを知らないアップルを狙ったと思われる施策を次々と打ち出しています。

安倍晋三首相は15年に携帯電話の料金引き下げを検討するよう総務大臣に指示し、総務省はそれを受けて16年4月にスマホに関する指針を発表、「実質ゼロ円販売の是正に動き出しました。端末割引の原資を通信料金の引き下げに充てるよう促すためです。

総務省が発表した指針は通信料金を引き下げるためのものですが、一方でアップルのiPhoneを狙い撃ちにしたものであるとも言われています。というのも、端末価格の高額割引の恩恵を最も受けていたのがアップルだからです。指針により高額割引をなくすことで、アップルに不利になるよう仕向けたとみられます。

アップルはNTTドコモなどの大手キャリアにiPhoneの販売ノルマを課していると言われています。大手キャリアはシェアを高めるために、販売ノルマがあったとしても人気があるiPhoneを必要としました。そして、販売ノルマをこなすために実質ゼロ円でばらまいたのです。こうした大手キャリアの販売努力のおかげでiPhoneのシェアが高まっていきました。

こうした状況を是正するために、総務省は実質ゼロ円端末を排除しました。ただ、iPhoneはゼロ円ではなくなったものの、他の端末との価格差は大きくはならず、機能やブランドの優位性があるiPhoneから他の端末に乗り換える人はそれほど多くはなかったようです。

総務省はさらなる是正を促すため、17年6月1日以降に発売されるスマホについて、「2年前の同型機種の下取り価格以上の実質価格で販売することを求める指針を発表しました。iPhoneのような高機能端末であれば下取り価格も高いため、そういった端末の販売価格は上昇することになります。例えば、新型のiPhoneが9月に発売されるとみられていますが、その2年前の同型機種(この場合はiPhone 6s)の下取り価格以上を実質価格にしなければならなくなります。

この指針により、iPhoneなどの高機能端末と廉価販売の端末との間に価格差が生まれるようになります。そうなるとiPhoneの価格は相対的に高くなるので売れ行きは鈍くなり、アップルは打撃を受けることになるでしょう。そのため、総務省の新たな指針はアップルを狙ったものと考えられるのです。

新たな指針は中古端末市場にも影響を及ぼしそうです。大手キャリアは2年後の端末の実質価格を抑えることを見据えて、下取り価格を下げることが考えられます。そうなると、キャリアよりもゲオなどの中古販売店の方が高く買い取る可能性が高まるため、中古端末市場に出回るiPhoneが増える可能性があります。

というのも、大手キャリアは下取りしたiPhoneを海外には一部を流通させるものの、日本国内には流通させていないといわれているからです。アップルはブランドの毀損を防ぐために、キャリアに国内に流通させないよう制限をかけているとみられます。そのため、中古販売店にiPhoneの中古端末が流れるようになることで、中古端末市場が活性化する可能性があるのです。

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