ところが!! 時は流れて、新たな考え方が生まれてきました。
「大人の脳でも神経細胞が生まれている!」
これは、ジョセフ・アルトマン(アメリカ)が提唱した新たな考えです。1965年には、
「ラットの成体の海馬で、神経細胞が生まれている」
という研究を発表しました。
まずはラットの実験においてではありますが、大人でも脳は再生するのではないか!? という新たな希望の光が見出されたのです。脳は再生しないというカハールの呪いを解く新説として、注目されました。
さらに時は流れて、他の動物でも研究が進みました。ラットではなく、鳥の研究です。
「鳥は歌を覚えるために、神経が生まれかわる!」
そう唱えたのは、アメリカの神経生理学者であるフェルナンド・ノッテボーム氏です。1984年には、
「鳥の歌の学習に関連する脳の部位で、神経細胞が新生している」
「カナリアが毎年新しく歌を覚えるという学習と関係している」
という研究を発表しました。
鳥のカナリアは、毎年春になると、求愛をするために、新しい歌を覚え直して歌うそうです。ノッテボームらはカナリアを用いた実験によって、新たに生み出されたニューロンが古いニューロンと入れ替わる事を示し、このニューロン置き換えが、新しく歌を覚えるという学習と関係している事を明らかにしました。
NHKスペシャルの番組で、ボケないようにするためには、知的な活動をすることが大事であり、新しい歌をうたうことが勧められていました。
もしも鳥と同じことがヒトでも成り立つとしたら、ヒトも同じようにいつまでもセクシーに、色気を持ち、恋心を抱いて、新しい歌をうたうことが脳を若返らせるのかもしれませんね。
世の中に、絶えず新しいラブソングが次々と生み出されていくのも納得です。ラブソングは、すなわち求愛ソングですから、新しいラブソングをどんどん覚えて歌うことは脳にとってよいのかも。
ちなみに、余談ですが、我が家では、「新しい曲を3回繰り返し聴いたら、自分で歌えるようになろう」という家庭教育があって、歌の完コピをするトレーニングもしていました。
課題曲は、なるべく自分が実際に聞いてみて、好きだと思える曲を選びます。メロディーが体になじむもので、もっと聴いていたいと思えるもの。
1回目は、静かに曲をじっと聴いて、アタマの中にインプットする。
2回目は、歌詞はラララにして、曲を追いながら小さい声で口ずさむ。
3回目は、歌詞もきちんと口にしながら、一緒に曲を歌う。
3回で歌詞までは完璧に覚えられないので、歌詞をみながらメロディーだけをコピーできるか挑戦しようという遊びです。新曲をカラオケで歌いたくて、今でも習慣的に続けています。
歌を聴くだけだと、聴覚からの刺激が主ですが、自分も歌えるようにするとなると、さらに意識的な記憶の力が必要になってくるので、歌を覚えるということは、生き生きとした脳を保つのに良いでしょう。
(脳を生き生きと保つ生活習慣など、続きはご登録の上お楽しみください)
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『木村美紀が明かす家庭教育の秘策』より一部抜粋
著者/木村美紀
東大在学中にタレントとして活躍した木村美紀が「学び続けたい」と励む意欲の原点は、幼少時の家庭教育にあった!ここだから言える、木村家のユニークな教育メソッドが満載!
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