「誰でもおしゃれに見えるロジック」は確実に存在する
鈴:MBさんのブログ、いま月にどのくらいアクセスがあるんですか?
M:いま、月に100万PVくらいですね。
鈴:すげーーーー! ひ、100万ですかぁーーー。
M:でも、正直よくわからないんですよね。みそさんのサイトってどのくらいなんですか?
鈴:僕のところはねぇ、1日に1000ぐらいしかきてないから(笑)。
M:いちばんはじめにブログはじめた時って、半年で19記事しか書かなかったんですよ。でも、その時点で20万PVくらいあって。
鈴:結局、習慣性を持たせることしかないんですよね。
M:そうなんですよ。もしかすると、僕のような情報を発信する人が極端に少なくて、ものすごく「穴」になってたのかもしれません。
鈴:だから情報の価値が相対的にとても高い、と。
M:そうだと思います。それに、みんな「感覚的」に語るんですよね、「今年の流行は青が気分」とか。「気分」ってなんだよって話じゃないですか(笑)。それを、僕は「気分の理由」を説明するんですよ。80年代にこういう流れがあって、それがいま90年代になってその流れが終わって、ファッションというのはサイクルをもって繰り返すものだから、2年前にパリコレでこれが発表されたから今、日本国内におりてきて、これが出てくるから青が気分なんだよ、って。つまり、論理的に説明するというのが新しいところで、その情報の価値が相対的にとても高かったんだと思うんですよ。
鈴:うんうん。だからブログにもたくさん人がきてるし、それよりもっと細かい説明をメルマガでやるということですね。読者は男性よりも女性が多いんですよね?
M:いえ、男性のほうが多いです。
鈴:えええええーーーーーー。
M:99%男性です。
鈴:そうなんだ!
M:メンズのことしか語らないですから。
鈴:あ! だから「論理化」して、「言語化」することが大事なんですね!
M:そうです、男なんで。
鈴:男だから! なっるっほっど~! それは確かにいない、というか見たことないわ。
M:そこに注目した点は、みんな「おもしろい」と言ってくれますね。服を選ぶ理由を論理的に説明する、っていうのは、たぶん男性はみんな好きだと思います。普通、みんな逃げるじゃないですか、途中で。論理的に説明できなくて、モノのよさに逃げたりしますよね。この素材は、何とか地方で採れたからいいものなんだ、とか。でも、その地方で採れたからおしゃれだ、とは誰も言ってないっていう(笑)。その質じゃなくて、あくまで客観的な「見た目のおしゃれ」を論理的に語る人って、いままでいなかったんですよね。
鈴:確かに、それを語れる人っていないですよね。聞いてみたくなる…なるほどな~。これって、最終的には「自分とマンツーマンで何を着たらいいか直接語ってほしい」というところまでいきますよ。で、自分が服を着た写真を送って診断してもらう、とか。たとえば、自分に合う服を定期的に送ってくれるサービスとか、そういうこともできますよね。サイズさえ書いておけばいいわけだし。
M:そうです、それをできることが最終着地点ですね。
鈴:ですよね。それに10,000人ぐらいが申し込んできたら、10〜20人くらい雇ってまわせばいいわけですから。
M:でも、いろいろな会社が服を送るサービスだとかレンタルサービスだとか、同じようなことをやろうとしていますけど、なかなかうまくまわっていないんですよね……。
鈴:なぜうまくいかないんですかね!?
M:結局、みんな「人によって好みがある」とか思っているからじゃないですかね。画一的に送られてくるものばかりなので。
鈴:そっか~、なるほど。
M:みんな「正解がない」って思ってるんですよね、きっと。となりの人は似合っても、自分に似合うかどうかはわからないっていう世界が、アパレルってすごく広がっているんです。でも、それって誤解だと思うんですよ。
鈴:誤解なんですか!
M:はい、「誰でも似合うロジック」というのが存在しているんですよ。これをこうやって着れば、別にどんな顔していようが、どんな髪型していようが、似合う、似合わないじゃなくて「おしゃれに見える」というロジックは、確実に存在します。これとこれをこのぐらいのサイズで買えば大丈夫、というものは答えとしてありえるということです。
鈴:なるほど~。でも、アパレルとかって、全部「お似合いですよ」と言って買わせようとしてやがる! ということがずーっと不信感につながっていったわけですよね(爆笑)。
M:(爆笑)そういうことです。そうした現状に反旗をひるがえしたいと。
鈴:ふんふんふん。でも逆に、業界からめちゃめちゃ叩かれる危険性をもっていますよね。
M:普通はそうなんですけど、基本的にメルマガで悪口は書いていないんです。いまのところ、業界のみなさんは好意的ですね。逆に、悪口は言わずにロジックを書いて、そこで具体的な商品名を挙げているから宣伝にもなる。商品名を挙げたメーカーやブランドは大喜びしてくれます。
鈴:でも、同じようなことを始める同業者も出てきているんじゃないですか?
M:出てきましたね。
鈴:ちょっと違うポジションとかですか? たとえば、男性の服じゃないとか…。
M:いやもう、丸パクリみたいなのがやっぱり…。
鈴:パクリ屋! やっぱりきましたか!
(一同爆笑)
M:出てきてはいるんですけど、やっぱり未完成なんですよね。論理に落とし込めていないというか。どこか感覚で語っちゃっている。アパレルの人って、すごく感覚人間なので……。
鈴:もともと感覚の人がきてるからね。マンガの世界も、ものすごく感覚的なんですよね。でも、論理的じゃなければネームなんて切れないわけで。その論理のところを編集者がフォローしているっていうマンガ家は案外多いんです。しゃべるマンガ家が少ないのは、そのせいだろうと思われているんですよ。
M:みそさんはすっごいしゃべりますけど。
鈴:僕、しゃべるんですよ。
M:はははは!
鈴:そ、僕もともと編集あがりなんで。
M:あ、そうなんですか!
鈴:ええ。いちばん最初はいろんな人に発注して、原稿書いて、ページ作って、ということをやっていたんです。その経験があったから、というところがありますね。
M:そうなんですね~。ほんと、感覚人間でいまだにパソコンもいじれない人って結構多いんですよ、アパレルの世界は。だから、論理的に話もできないし。でも感覚だけで文字を書いても伝わりにくいじゃないですか。直接会ってしゃべるんだったら違いますけど。