体を守る水風呂の入り方
サウナを出て、そのまま水風呂へどぼんと飛び込み、頭まで水に浸かっているオッさんをよく見かけるが、こういう人を見るたび、僕は「お前、心臓マヒで死ね」と思ってしまう。
だいたい、汗みどろの体をかけ湯もせずに水風呂に浸すという行為は浴槽で小便をしているようなものである。 その小便まみれの水風呂に入る人間の気持ちになってみなさいっていうのだ。
そもそも、水風呂に入る時に、かけ湯(水)をしない人が多すぎる。
これはマジで体に悪いので、僕の場合は、両手足の先に2、3杯ずつ水をかけ、次に頭だけに水をかぶり、尻、腹、と攻めて、最後に全身に5杯くらい水をかぶる。 こうしてやっと水風呂に入るのである。
僕はデブで血圧も血糖値も問題ありありなので、これくらいしないと、自分の思惑と関係ないところで湯舟に浮いて迷惑をかける可能性がある。
それは断じて本意ではない。 温泉ソムリエアンバサダーで、温泉入浴指導員が、浴槽に浮かんだら、まったく恥ずかしいニュースになってしまう。
そこまで考えてかけ水をしているのだ。
むろん、サウナから上がったばかりでなくとも水風呂に入浴する機会はある。体を洗った後ですぐに水風呂に入る人もいるからだ。
すると、体もきれいな状態で、汗も流し終わった後で水風呂にきて、やおらかけ水などせずに浴槽に浸かるわけだが、これも見ていてあんまり気持ちよいものではない。 ほんの少しでもいいから、全身にさっと水を浴びて入って欲しい。 入浴者に対するマナー的なかけ湯である。
これは冷水浴に限らなくて、湯めぐりなどをして体はすっかりきれいなのに2湯め以降でかけ湯をするか否か、という議論になるわけだが、これは、きれいであろうとなかろうと、先客に見せるという意味でかけ湯をするのがマナーである。 温泉ソムリエの遠間家元はこれを「見せ“かけ湯”」と呼んでいる。 まったく言い得て妙だ。 こういう気持ちを持って、サウナも水風呂も、一般の温浴槽にも入っていただきたい。
サウナに限らず、かけ湯(水)は人のため、自分の体のためにもなること、なのである。
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『『温泉失格』著者がホンネを明かす~飯塚玲児の“一湯”両断!』より一部抜粋
著者/飯塚玲児
温泉業界にはびこる「源泉かけ流し偏重主義」に疑問を投げかけた『温泉失格』の著者が、旅業界の裏話や温泉にまつわる問題点、本当に信用していい名湯名宿ガイド、プロならではの旅行術などを大公開!
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