「水爆」発表に懐疑的な声も。北の核実験を各紙はどう報じたか?

 

ビキニから豊渓里へ

【読売】の「編集手帳」は意表を突いたもの。「古今東西、歌の題名は数あれど、景気の良さでは指折りだろう」ときた。昭和32年に書かれた詩で、西條八十作詞、上原げん作曲の「大当たり景気ぶし」。この歌の歌詞に、国際政治が顔を出すというあたりから、本題に入っていく。

「さくら咲く咲く平和の空で、野暮な原爆ためすバカ」。

この歌の3年前、ビキニ環礁で行われたアメリカの水爆実験で、日本の第5福竜丸などが被ばくしたことを指す。記者は「敗戦の焦土からようやく復興の扉をあけた当時の人々は、核が繁栄の敵であることを骨身にしみて知っていた。「なんと野暮でバカな」は実感だったろう」と書いている。

北朝鮮による今回の核実験に話を移すと、記者は「国内経済が疲弊の一途をたどるなかで、救い手であるはずの国際社会からこれ以上孤立してどうする」とした。

uttiiの眼

ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験と日本漁船の被ばく、そしてそこからアメリカが「核の平和利用」と原発売り込みの大宣伝を《朝日》や《読売》も巻き込んで展開し、やがて東電福島第1の事故に続いていく経緯を考えると、さすがに《読売》は「原子力ムラの一角と目されるだけあって、その間の事情をキチンと整理しているのだなと感じる。60年前の核実験を思い出すことを通じて、今回の北朝鮮の核実験を照射するなどということは、簡単に思いつくようなことではない。

だが、核実験だけが「野暮でバカ」なのではない。原発もまた、「野暮でバカな試みに過ぎないと私は思う。もちろん、《読売》はそのように書いているわけではないが。

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