香港で中国の言論弾圧が本格化。次のターゲット・台湾はどうなる?

 

加えて、中国が「1つ」になって以降、禁書焚書は国家生存に欠かせない条件となっています。具体的には、秦の始皇帝の統一以降、「焚書坑儒」「儒家独尊」「文字獄」が歴代王朝の風物詩となり、生存条件のひとつとなってきました。

2,000年以上前から、王朝や政府認可の書籍、論文、詩、文字については使用禁止とされており、また、言論弾圧である「文字獄」では、たった1文字から数文字を書いたことで牢屋に入れられるケースが多かったのです。それがいわゆる中華の文化伝統でした。

現在、取り締まりの対象であり、中国本土で禁書となっている本に、「中国教父 習近平」という香港のベストセラーがあります。これは余傑という著者が書いたもので、毛沢東主義に走る習近平をヒトラーになぞらえて、「いずれ破滅の道をたどる」と記述しているそうです。

発禁のヒット本 ヒトラーら独裁者と習近平の同じ末路を予言

著者の余傑氏はすでにアメリカへ亡命していますが、この本の版権を獲得した香港の出版社の社長は深センで失踪しました。そして、その後、中国当局からの発表があり、密輸罪によって懲役10年になっています。

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このように香港では大陸の取り締まりの手が伸びてきており、自由な言論活動が規制され始めています。昨年12月には、中国のアリババグループが香港の「サウスチャイナ・モーニングポスト」を買収しましたが、その裏には中国政府の意向があり、報道内容が中国寄りに操作される懸念も囁かれています。

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一方で、香港の言論界を代替する役割としての台湾の存在が大きくなってきています。台湾では、中国の「禁書」の売り上げが5倍に伸びており、買い手の多くが中国人観光客だということです。

中国人観光客に意外な売れ筋アイテム、「禁書」の売り上げが5倍に―台湾

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