私は哲学が昔から好きで、哲学者の言葉を集めた本が好きなのですが、ある本を読んでいて、ニーチェの言葉が心にグサリと響いたのです。
『超訳ニーチェの言葉』(白鳥春彦・翻訳)という本の中から、ココロに響いた言葉を引用させて頂きます。
ニーチェの『人間的な、あまりに人間的な』という作品に登場する、こんな言葉をご紹介しましょう。
「力を入れすぎない」
自分の力の四分の三ほどの力で、作品なり仕事なりを完成させるくらいがちょうどいいものが出来上がる。
全力量を用い精魂を傾けて仕上げたものは、なんとも重苦しい印象があり、緊張を強いるものだからだ。
それは一種の不快さと濁った興奮を与えることをまぬかれない。
しかも、それにたずさわった人間の臭みというものがどこかついてまわる。しかし、四分の三程度の力で仕上げたものは、どこか大らかな余裕といったものを感じさせる、ゆったりとした作品になる。
それは、一種の安心と健やかさを与える快適な印象を与える作品だ。
つまり、多くの人に受けいれられやすいものが出来上がるのだ。
なるほどなぁ~と心にスッと入ってきました。
作品を作ったり、仕事をしたりするのは、相手にみせたり相手の要求にこたえたりする類のもので、相手ありきの対人的な行動なので、なおさらそうなのかも。
すべての力をぶつけてしまうと、相手に威圧感を与えてしまったりすることもあるし、押し付けがましくて重く受け止められてしまうこともある。
「自分は全力でやりました」感が出てしまうのかも。
「これでどうや!」という、いわゆる、ドヤ顔のドヤ感。そんな来られても…ちょっといいや…ってなってしまいそうですよね。
完璧すぎても、圧倒されて終わるだけだし、相手が入りこむ余地や隙間がなくなってしまう可能性もある。
親近感や温かみを感じにくくなってしまうのかな。
だから、いくら自分が自己満足しようとも、全力を相手にぶつけることが必ずしもいいとは限らない。
だったら、適度に力を抜いた方がよいのかもしれません。
受け取る相手にとっては。