中国VS米国。戦争をする気もないのに挑発する理由とは?

 

発言の意図と「オープンソサエティ協会」

こうした発言を聞いていると、中国とアメリカの軍事衝突がいまにも始まりそうな印象を持ってしまうが、こうした発言を行っているのはCIAの高官やジョージ・ソロスという世界の混乱を仕掛ける側の人間の発言だということだ。米中戦争のよる第3次世界大戦の危機を警告する背後には、まったく別な意図が隠されていると見た方がよい。

ジョージ・ソロスだが、早くも1960年代にジム・ロジャースとともにヘッジファンドの「クオンタム・ファンド」を立ち上げ、世界を席巻した投資家というだけではない。「オープンソサイティー協会」のようなNGOを立ち上げ、自由で開かれた社会を目指す政治活動家でもある。

「オープンソサイティー協会」は政権を転覆する市民運動を米国務省とともに仕掛け、数々の革命を引き起こしてきた組織である。2000年から2006年まで中央アジアの親ロシア派の政権を打倒し、親欧米派の政権を打ち立てた「カラー革命」には青年を抗議運動にリクルートし、トレーニングしていたのがジョージ・ソロスの「オープンソサイティー協会」だったことはあまりに広く知られている。

「オープンソサイティー協会」は、いわば米国務省の工作機関である。そのような組織を運営している人物は、客観的な観測の結果として米中衝突による第三次世界大戦の発生を警告するとは到底考えられない。警告の背後には別な意図があると考えてしかるべきだ。

また、米国務省や「オープンソサイティー協会」と協力して工作にかかわっているのはCIAである。その前副長官が米中の衝突と第三次世界大戦を警告しているのである。もちろん、背後になんらかの意図があることは間違いない。

本当の標的はマケドニア

「オープンソサイティー協会」がいまどのような活動を行っているのか調べると、意外な国の政権転覆を計画しているとの情報が大量に出てきた。その国とはバルカン半島のマケドニアである。

マケドニアは、親ロシア派のニコラ・グルエフスキ首相が政権の座にある。多くの国々がロシアと欧米とのバランスを取っているときに、マケドニアはロシア支持の姿勢を明白にしている。

そのようなグルエフ政権だが、今年の2月、野党によって大統領や首相の盗聴された電話の内容が公開され、大きなスキャンダルになった。それは不正選挙の談合や野党に圧力をかける密談であった。野党が電話盗聴の高度な技術を持っているとは考えにくいので、アメリカやドイツの諜報機関が与えた情報だとも言われている。野党はEUとNATOの加盟を目指す親欧米派である。スキャンダルの公開以来、首都では政府支持と反政府の市民が対立する緊張した状態が続いている。

また5月18日には野党のクーデターの計画が発覚し、緊張はさらに高まっている。

だが、それだけではない。マケドニアの30%の国民はアルバニア系である。野党の最大の支持母体になっているのはこのアルバニア系住民であり、アルバニア人居住地域を隣国のアルバニアに併合する「大アルバニア主義」を唱えている。これを支援するために隣国のコソボから「KLA」という武装集団がマケドニアに侵入し、マケドニア警察と銃撃戦にもなっている。

このような複雑な状況だが、親ロシア派のニコラ・グルエフスキ政権の打倒を強く支援しているのが、ジョージ・ソロスの「オープンソサエティ協会」なのだ。これは、ウクライナやグルジアなどの親ロシア派の政権を打倒した「カラー革命」、そして2014年2月に起こりいまでも続いている「ウクライナ政変」とまったく同じ構図である。

さらに多くの記事によると、「ウクライナ政変」を実質的に画策した米国務省でネオコンのヴィクトリア・ヌーランドのチームもすでにマケドニアに入り、「オープンソサエティ協会」と協力しながら、反政府運動を画策している。マケドニアのウクライナ化だ。

>>次ページ マケドニア政変を画策するアメリカの真の狙いとは?

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