劉邦からジョブズまで。トップリーダーに共通する「引き出す力」

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何が成功をもたらすか

経営者が最大の経営資源ですが、その経営者の何が成功をもたらす要因なのか、そこが分からなればやり様がありせん。

経営者には技術能力は必要なのかを考えてみます。本田宗一郎さんや井深大さんのような高い傑出した技術をもった創業者もいます。しかし、経営者にとっての必要な専門能力は経営能力です。本田さんには藤沢武夫、井深さんには盛田昭夫、さらにいうと松下さんには高橋荒太郎というパートナーがいます。本田さんに至っては、藤沢さんに実印を預けぱっなしで技術開発に専念しています。

稲盛さんは仕事の成功について「仕事の結果=考え方×熱意×能力」という方程式をあげています。そのなかで特に重視しているのは「考え方」で、考え方についてはプラスからマイナスまであり、そのあり方によって全く違った結果になると主張されています。

大企業の創業者には、共通した2つ基本的な考え方があります。それは「社会に新たな価値をもたらす」という考え方と「人材を大切にする」という考え方です。

中国の歴史にも、とんでもないスケールの創業的人物が登場します。前漢を興した「高祖劉邦」は代表的な人物です。

劉邦は、見た目は立派だが無学でその性格は粗野で強欲なやくざの親分のような男でした。しかし、その反面で桁違いの資質がありました。それは、どんな人間の諌言でも聞き入れる度量と配下への並外れた信頼です。そのため、綺羅星のごとく英才や英傑がこぞってその陣営にはせ参じました。これは経営能力を超えた人間力と言えます。

日本では、豊臣秀吉が抜きんでた人間力を持っています。ただ劉邦よりもはるかに賢くその分スケールは小さいようです。竹中半兵衛や黒田官兵衛の軍師や蜂須賀小六などの人材がより集っています。大将には大将たる技が必要です。また、意識して心がけなければなりません

名経営者と呼ばれる人たちは、その経営力を超えた人を結集させる技に秀でています。資金集めについても名経営者には面白いエピソード付きまといます。

稲盛さんにはその人柄に惚れて自分の財産を注ぎこむ後援者がいたり、出光興産の出光佐三さんに至っては全財産を無償で注ぎこんでくれる人がいたり、孫さんにもその将来を見込んで1億円をポンと出資してくれる親戚がいたり、人間的なスケールと魅力が後援者を引き付けています。

基本にあるのは、人の考え方のあり方です。人は、「壮大に夢を見る人の考え方と行動」に自分の夢を重ね合わせ無償の好意を寄せてくれることがあります。経営者に求められるのは、一言では言えない「夢に賭ける」潔さです。

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