あのプーチンが喜んだ。安倍総理はロシアへのアプローチをどう変えたのか?

 

中国を批判しない

「そうか、日ロ関係の本質は、『対中国』なんですね!では、プーチンさんに、中国の非道さをプロパガンダしましょう!」

これは、大きな間違いです。ロシアは、クリミア併合以降、日欧米から制裁されています。しかし、中国は、制裁に加わらなかっただけでなく、はっきりとロシアに味方した。中ロ関係は、「対アメリカ」でそこそこ良好な関係にある。そして、最大のお得意欧州との関係が悪化しているので、中国との経済関係はロシアにとって重要なのです。

ところで、私たちは「中国とロシアを分裂させたい」のですが、その際、「中国の悪口をいう」必要は全然ないのです。たとえば、中ロ関係は、05年頃から現在に至るまで、概して良好です。しかし、08~11年、メドベージェフが大統領だった時代、中ロ関係は停滞していました。なぜでしょうか?

メドベージェフは、「再起動」といい、アメリカとの関係を改善させたからです。アメリカとの関係が改善すると、自然と中国との関係が悪化した。そういうものなのです。

日本がロシアとの関係を深めていけば中ロ関係は自然と弱くなっていくことでしょう。

ポイントをまとめましょう。

  1. 日ロ関係が重要なのは、「対中国」であることを、はっきり認識すること。
  2. 北方領土問題でプーチンに恥をかかせない(そうすると、態度が硬化し、逆効果)。
  3. WIN-WINの経済協力で、両国関係を改善する。
  4. 日ロ関係の本質は、「対中国」だが、中国を批判してはいけない。

というわけで、日ロ関係が大きく動き始めました。総理は、中国の戦略を無力化することで、「戦わずして勝つ」を実践していただきたいと思います。

image by: 首相官邸

 

ロシア政治経済ジャーナル
著者/北野幸伯
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