悩みは自分が勝手に作り出している
ではどうすれば、そうした枷を外すことができるのか。
ひとつの方法は、その「べき」を守らなかったら、いったいどういう困ったことが起こるのかを、論理的に考えてみることです。
再び僕の例で恐縮ですが、僕は会社を作ってうまくいかなかったら潰すということに、なんの躊躇もなくなりました。
「会社を潰した」というと、ぎょっとされるかもしれません。
「そんなの悪いことだ」「大変な事態だ」と思うかもしれません。
しかしこれも論理的に考えれば、会社をつぶすのはただの手続きに過ぎないということがわかります。
事務所店舗の契約を終了し、電話やネット回線を解約し、事務機器を売却・廃棄し、引き上げる。法務局・税務署・社会保険事務所に廃業に関する書類を提出する。ただそれだけのことです。
人を雇っておらず、未払いの経費などもなければ、他人に迷惑をかけることもない。最初はぎょっとされても、人はすぐに忘れます。
同じように、その人から嫌われたら、どんな困ったことが起こるのか。
そのグループから外れると、どんな困ったことが起こるのか。
みんながNOと言っているのに、自分だけがYESと言ったらどんな困ったことが起こるのか。
実は、困ったことなんてそう簡単には起こらないものです。
もうひとつは、意識して物事の捉え方を変えることです。
そもそも問題そのものが悩みなのではなく、その人の受け止め方が悩みを作り出しているケースがほとんどです。
たとえば「自分はデブだから恋人もできない」と思っている人。
デブは事実でも、一方ではそれを気にして積極的になれない人がいて、一方では何も気にせず楽しく生きている人がいる。
あるいは「ぽっちゃり系アイドル」などと自分のウリにさえしている人がいる。
つまり事実そのものは単なる事実に過ぎず、それを悩みにするか、ただの出来事にするか、肥やしにするかは、それをどう捉えるかの問題です。
であれば、捉え方を変えることで、感じ方も変わります。
「自分はデブだ。でもデブでも恋人がいる人は多い。力士だってみな結婚しているから、異性は外見だけで相手を選ぶわけではないということ。なら男(女)としての魅力を磨けばいい」と前向きな発想につながるでしょう。
リストラされたら、多くの人は落ち込み、悩むでしょう。
しかしそうやって自分を悩ませるのは、「リストラされた人間には価値がないはず」と思い込んでいる自分の心です。
そこで捉え方を変える。
「リストラされたのはこの会社に会わなかっただけで、自分に価値がないわけではない。会社は全国に400万社もあるし、大企業は1万社以上もあるから、合わない会社だってある。逆にそんなにたくさんあるのだから、自分の価値を発揮できる会社もあるはずだ。」
そんなふうに、自分の勝手な価値観で勝手に悩みに変えるのではなく、捉え方を変えて前向きに進むための根拠にしていくことです。
そしてこれは、高度に内省的な作業です。