4. 屈辱のスピーキング
はじめてのTOEFLで、何よりも屈辱的だったのはスピーキングの問題。質問が出題されて、15秒の間に回答を考えて、45秒かけて自分の回答を延々とマイクに吹き込むという内容。誰を相手にするでもなく、独り言のようにマイクにぶつぶつとつぶやくのは、とても気恥ずかしかった。
さらに、質問自体もなんかちょっと妙。「結婚相手に求めるものとは何か?」「最後の一日を過ごすとしたら、どんな過ごし方をしたいか?」「人生で最高の一日とは?」
なんだこれ、母語である日本語でだって答えにくいと思えるような、微妙な質問が続く。
最初のTOEFLの結果は案の定だった。
リーディング24点、リスニング23点、ライティング22点、そしてスピーキングは13点。合計82点。
スピーキングの点数が、やはり、断然、低い。それに、合計点も全く足りない。
トップティアのロースクールに必要な100点には、全く届かない。
ここから私の苦悩がはじまる。
著者/山口真由
1983年(昭和58年)札幌市出身。筑波大学附属高等学校進学を機に単身上京。2002年、東京大学教養学部文科Ⅰ類(法学部)入学。在学中3年生時に司法試験合格。4年生時には国家公務員Ⅰ種試験合格。「法学部における成績優秀者」として総長賞を受け、2006年、首席で卒業。同年4月に財務省に入省し、主税局に配属。2008年に財務省を退官し、2009年~2015年まで大手法律事務所に勤務。2015年9月~2016年7月、ハーバード大学ロースクール(法科大学院)に留学。2016年8月、ハーバード大学ロースクールを卒業し、日本での活動を再開。