さらにユニークなのはカンボジアの「学校づくり支援」を行っていることで、経緯は、女将がアンコールワットの観光に訪れたカンボジアの有様を見たことでした。そこには物乞いする子供たちと、その背後にいる無気力な大人達がいました。そして「この子たちに教育を受ける機会を与えたい」と思い、学校を作るための募金活動を開始したのです。
ここで「大人づくり」のために、従業員を巻き込んでの活動が始まります。募金の方法がまたユニークで、勤務時の「賄い飯」を食べる毎にそれに見合った募金をするというもので、これが学校建設の資金に回されています。そして、定期的に従業員とともにカンボジアを訪れ、自分たちの募金がどのような形になっているかを実感してもらうのだそうです。
ここには女将の「何かをしてもらう人」から「何かをする人」になってほしいとの願いが込められていて、従業員はこの経験を通して「一人前」になる機会が与えられています。「甘える」から「甘えさせてあげられる」従業員育成の母親教育が行われているという次第なのです。
多くのケースですべての人が望む成功の秘訣を紐解くことは、さほど困難なことではないのですが「言うは易し、しかし行うは難し」なので、松下幸之助さんの言われる「悟り」なくして行うことは難事なのでしょう。
image by: みそかつ矢場とん公式HP
『戦略経営の「よもやま話」』
著者/浅井良一
戦略経営のためには、各業務部門のシステム化が必要です。またその各部門のシステムを、ミッションの実現のために有機的に結合させていかなければなりません。それと同時に正しい戦略経営の知識と知恵を身につけなければなりません。ここでは、よもやま話として基本的なマネジメントの話も併せて紹介します。
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