それにしても、あまりにも、あらゆることがスピーディーに処理されていく。通常国会の本格論戦が始まる前にトカゲのしっぽ切りをしておきたかったということか。
第一次政権で国家公務員法の改正法を制定して省庁の天下りあっせんを禁止し、再就職等監視委員会つくった安倍首相が、この不祥事を利用して、改革者のイメージを高めようとしているのではないかとさえ勘ぐりたくなるほどの手際よさだ。
安倍首相は全省庁に調査を指示したという。
(首相は)まず各省庁で確認し、疑わしい事案が見つかったら監視委に連絡するよう求めている。
(朝日新聞)
が、その実効性には疑問符がつく。各省庁にどれだけ自浄能力が期待できるというのか。省庁の関与する天下りを禁止しながら政府は監視機能をあえて弱めているように見えて仕方がない。
たまたま、あまりに露骨だった吉田氏のケースが、天下りに厳しい政権のイメージをアピールするための生贄になっただけではないのだろうか。
本気で違法な天下りを食い止めるには、監視委員会の調査機能を大幅に拡充するしか方法はない。今の人員体制では、天下りに関する外部からの情報提供を待つだけであろう。
調査スタッフを増やし、全省庁の再就職状況を把握し、常時、違反に目を光らせる体制づくりが肝心だ。