元「旅行読売」編集長が暴露。透明な温泉がフレッシュとは限らぬ訳

 

次亜塩素酸ナトリウムなどの塩素系消毒薬(強い酸化剤なのだ)で人為的に酸化させてしまった上に、循環ろ過をすると、これは明らかにフレッシュ感が損なわれる。 同じ湯を使い回しているのだから当然だ。

ただ、拙著でも書いた通り、開放感のある大きなお風呂を作ってお客さんに楽しんで欲しい、という「善意」から来るのであれば、塩素消毒も全面否定はできない。 しないと湯の清潔感が保持できないからである。

一方、湧き出した湯が浴槽に注がれる過程で、自然に酸化するのはどうしても避けられないこと。 温泉は高圧の地中から地表に出て空気に触れた瞬間から酸化が始まるわけで、これを極力避けるには、圧力を変えないまま、空気に触れないようにして湯船に注ぐ必要がある。 足元湧出の温泉が貴重というのはまさしく給湯方法として理想的な状態であるからだ。

それでも湯船に注がれたら空気に触れて酸化は進行する。 こうした自然の酸化は、どうしようもないレベルの最低限の酸化であるから、循環消毒した湯の酸化の度合い、つまりフレッシュ感の損なわれ方とはまったく違う。

循環しないまでも、浴槽が大きくて新湯の注入量が少なければ、酸化した湯の割合は増えるわけである。 すると、同じかけ流しの湯でもフレッシュ感に差が出るということになる。 こうしたかけ流しの湯のフレッシュ感の差を感じるには、やはり意識して温泉に入る、楽しむことが必要で、ある程度の慣れが必要になってくると思う。 もっとも、そんな微妙な差を感じられるから偉い、というようなものでも何でもない。 各人が満足すればそれでいいと思う。

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