「有休ください」「本気か?」という会社を訴えたら勝てるのか

 

会社が負けました。「有給の取得を妨害したのは違法」と判断されたのです。

いかがでしょうか?

おそらくみなさんの中で管理職や経営者の人はこの会社側の考え方に共感される人のほうが多いかも知れません。ただ、実際にそれを言ってしまって有給を取らせないとこの裁判のようになってしまうのです。

では、有給を取らせないためにはどうしたら良いか? これは、私も日頃よくいただくご相談内容です。答えは非常にシンプルで、「そのような方法はありません(すいません汗)」とお答えしています。法律で取得が認められている以上、法律違反をしない限りそれを阻止することはできないのです。

では、社員に好き放題に取らせるしか方法はないのかというとそうでもありません。まず一つ目の方法として日頃から社員とお互い信頼関係を築いた上でその取得の日を調整してもらうことです。

「この忙しいときに勝手に有給取って!」という会社で状況をお聞きすると忙しいことを理解していないから取得しているというよりも、会社に対する不満や不信感から「会社が忙しくても自分は関係ない」という意識で取得している場合が多かったりします。

また、その他の方法としては、思い切って「有給取得を促進する」というのもあります。前もって取得日を決め、仕事を含めたスケジュールを組んでもらうのです。こうすれば社員も仕事の忙しさも考えて調整して取得するようになります(もちろん、事前にその意図や思いもしっかり伝える必要がありますが)。

「人もいないし、忙しくてそれどころじゃない!」という状況も、もちろんあると思います。ただ、それでもやはり、有給取得はすすめていくべきではないかと私は思っています。

今後は、強制的に有給を取得させるような法律も成立しそうな様子もあります。会社ごとの有給取得率の開示も進むでしょうから取得率の低い会社は、人を採用しづらくもなります。「今日から」とか「来月から」ではなくても良いのです。まずは「1日分から」でも良いのです。

有給取得、すすめてみませんか?

image by: Shutterstock.com

 

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【社員10人の会社を3年で100人にする成長型労務管理】 社員300名の中小企業での人事担当10年、現在は特定社会保険労務士として活動する筆者が労務管理のコツを「わかりやすさ」を重視してお伝えいたします。 その知識を「知っているだけ」で防げる労務トラブルはたくさんあります。逆に「知らなかった」だけで、容易に防げたはずの労務トラブルを発生させてしまうこともあります。 法律論だけでも建前論だけでもない、実務にそった内容のメルマガです。

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【著者】 特定社会保険労務士 小林一石 【発行周期】 ほぼ週刊

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