自ら新しい市場を作り出す努力もしない、現代日本企業の「怠慢」

 

ところが現代は消費がまったく盛り上がらない。今はどこの家庭も大体必要なものは持っているので買いたいものが見当たらないというのが一般的な感覚だ。若者が目の色を変えて欲しがったクルマは、いまや所有コストがかかりすぎて「必要なときはレンタカーやタクシーで十分だ」という人が多い。自動車を持つと駐車場が必要だし、自動車保険料、取得税、ガソリン代など何だかんだと含めると月に10万円ぐらいはザラにかかる。

70年代のようにクルマを持つことがステータスだったり、彼女を連れてドライブに行くデートなどももはや特別なことではなくなってしまったらしい。

クルマだけではない。電気製品にも目を輝かせる人は少なくなってしまった。かつては電気冷蔵庫、テレビ、洗濯機、エアコン、炊飯器など新しい製品が出ると、みんなが群がったものだ。月収の数倍の値段でもローンを組んで手に入れようと先を争った。

こうした家電製品の開発を東芝や松下電器(現パナソニック)、シャープ、三洋電機などが国産化一号を争い、一号を出し抜かれた企業は次々とカッコのよい多機能のついた便利な改良品を発売していった。60~80年代は、まさにクルマと家電製品が高度成長を引っ張り家庭生活を便利で豊かにし文化度を高めていったのである。

そこには高度成長期の消費者の夢と欲望を満たそうと各社がしのぎを削って知恵を絞り、消費者の要求を見つけ出した研究開発、製品づくりに必死になったものだ。

ところが現代は企業の側も消費者は何でも持っているため欲しいものがないようで新製品を出しにくい」という。

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