自ら新しい市場を作り出す努力もしない、現代日本企業の「怠慢」

 

しかし消費者が気が付かないものを必死に考え出し製品化してマーケットを作るのが企業の役割ではないのだろうか。「消費者はいまやモノに飽きている」なんていうのは、まさしく企業の怠慢」ではないか。

日本の家電、自動車メーカーに敗北した欧米メーカーは苦節20~30年でIT、バイオ、宇宙、医療、エンターテイメントなどで新しい市場を開拓しはじめ、今やアップル、マイクロソフト、グーグル、テスラなどの新興企業が世界を牽引している。欧州メーカーでは吸引力数倍の掃除機や自動掃除機を開発し、留守の間に掃除をすませてしまう新たな家電製品を作り人気になっている。

実は、消費者が欲しい製品はまだまだ無数にあるのだ。なのに「市場は飽和状態で消費者に欲しいものはなくなった」などというのは、企業側の「怠慢」であり、バブルにぬくぬくと浸りきってしまったせいなのではないか。これでは欧米先進国と新興国のはさみ討ちにあうだけだろう。

(電気新聞 2017年3月16日)

image by: Sean K / Shutterstock.com

 

嶌信彦この著者の記事一覧

ジャーナリスト。1942年生。慶応大学経済学部卒業後、毎日新聞社入社。大蔵省、日銀、財界、ワシントン特派員等を経て1987年からフリー。TBSテレビ「ブロードキャスター」「NEWS23」「朝ズバッ!」等のコメンテーター、BS-TBS「グローバル・ナビフロント」のキャスターを約15年務め、TBSラジオ「森本毅郎・スタンバイ!」に27年間出演。現在は、TBSラジオ「嶌信彦 人生百景『志の人たち』」出演。近著にウズベキスタン抑留者のナボイ劇場建設秘話を描いたノンフィクション「伝説となった日本兵捕虜-ソ連四大劇場を建てた男たち-」を角川書店より発売。著書多数。NPO「日本ニュース時事能力検定協会」理事、NPO「日本ウズベキスタン協会」 会長。先進国サミットの取材は約30回に及ぶ。

無料メルマガ好評配信中

この記事が気に入ったら登録!しよう 『 ジャーナリスト嶌信彦「時代を読む」 』

【著者】 嶌信彦 【発行周期】 ほぼ 平日刊

print
いま読まれてます

  • 自ら新しい市場を作り出す努力もしない、現代日本企業の「怠慢」
    この記事が気に入ったら
    いいね!しよう
    MAG2 NEWSの最新情報をお届け