なぜ李登輝台湾元総統は日本の「武士道」の教えを伝え続けるのか

 

「公義」と「友愛」

87歳の高齢にして病身の李登輝氏が、中国の反発と日本政府の抵抗を押し切って来日し日本の青年に語りかける姿も同じく「義を見てせざるは勇なきなり」の心からだろう。

中国の独裁体制による脅威という点では、日本と台湾は運命共同体である。台湾が中国の支配下に入れば、西太平洋は「中国の海」となり、海上輸送のライフラインを握られた日本は中国に膝を屈せざるを得なくなる。そのような日台両国民の不幸を避けるために、李登輝は高齢を押して、台湾と日本の人々に語り続けているのである。

蔵にあるものは蔵から出せば良い

国内の諸問題についても、同様である。

しかるに、まことに残念なことには、1945(昭和20)年8月15日以降の日本においては、そのような「大和魂」や「武士道」といった、日本・日本人特有の指導理念や道徳規範が、根底から否定され、足蹴(あしげ)にされ続けてきたのです。…

 

いま日本を震撼させつつある学校の荒廃や少年非行、凶悪犯罪の横行、官僚の腐敗、指導者層の責任回避と転嫁、失業率の増大、少子化など、これからの国家の存亡にもかかわりかねないさまざまなネガティブな現象も、「過去を否定する」日本人の自虐的価値観と決して無縁ではない、と私は憂慮しています。
(同上)

武士道は、我々の先人が700年の時間をかけて国民精神の根幹として育て上げてきたものである。それを戦後の70年ほど、我々は「お蔵入り」させていたわけだが、蔵にあるものは蔵から出せば良い

李登輝氏は『武士道解題』を次のような言葉で結んでいる。

最後に、もう一度繰り返して申し上げておきたい。日本人よ自信を持て、日本人よ「武士道」を忘れるな、と。

文責:伊勢雅臣

 

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【著者】 伊勢雅臣 【発行周期】 週刊

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