【書評】なぜ「銀のさら」は新参者から業界No.1になれたのか

 

街のお寿司屋さんと同じ土俵で戦うなら、低価格の回転寿司や持ち帰り寿司よりも高めだが、カウンター席もテーブル席も要らないし人件費や設備投資も軽減できるので、コスト的に優位性をもともと持っている。だから、同じ価格帯の寿司なら、お寿司屋さんの出前よりも宅配寿司のほうが美味しくて当たり前である。

この当然の論理で「同じ価格帯なら宅配寿司の方が美味しくて当たり前」という考え方に立ったのである。

そして、デリバリービジネスはチラシで頼みたいと思われなければ注文はないし応対が悪ければもう頼みたいとは思わないから、チラシのデザイン、電話応対やお届けの仕方は徹底して向上に努めた。

こうして、サンドイッチ店から鞍替えして1998年に江見氏が創業した「銀のさら」は、岐阜から全国へと展開していき、業界国内シェア50%の企業へと成長した。

江見氏は宅配寿司を始めた時、自分でチラシを作り自分で寿司を握って自分でご注文いただいたお客様にお届けした時、ご家族も自分もおもわず笑顔いっぱいになった。

しかし、もし食べてみて美味しくなかったら、「宅配の寿司なんてダメだね。もう取るなよ」と、いっぺんに食卓のムードが暗くなって、あの家族の団欒を壊してしまう。

私たちのお寿司が家族を楽しくするどころか、暗くしてしまうようなことがあってはいけない。

自分たちの役割は、お寿司を届けるだけではなく、お寿司を通して家族団欒をお届けする家族の幸せづくりのお手伝いである。

その考え方を「銀のさら」のスタッフと共感している、と、江見朗氏は述べている。

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