太らない食材として人気の赤身肉に、現役医師が「注意信号」

 

トランス脂肪酸は避ける

トランス脂肪酸は人工的に製造された油です。マーガリンやショートニング、クリーム、マヨネーズなどが代表的なトランス脂肪酸含有量の多い食品です。トランス脂肪酸は自然界には存在しません。トランス脂肪酸を多く摂ると動脈硬化が進行することがわかっています。

世界保健機関(WHO)はトランス脂肪酸の摂取量について、総エネルギー摂取量の1%未満とするように勧告しています。重量ベースでは一人一日当たり約2グラム未満となります。

食品を買うときには、内容物ラベルに注意して、トランス脂肪酸を含まないものを選びましょう。トランス脂肪酸は「部分水素添加油脂」とも呼ばれています。食品ラベルにはその表現が使われているケースもありますので。この用語も覚えておきましょう。ポテトチップスやカップラーメンにはトランス脂肪酸が多く含まれています

外食するときにはトランス脂肪酸を多く含むメニューをなるべく避けるようにするとよいでしょう。揚げ物、ビスケット、ケーキ、フライドポテト(フレンチフライ)などです。アメリカのいくつかの都市のレストランでは、トランス脂肪の使用が禁止されています。ニューヨーク、サンフランシスコ、ボストンなどの街です。

日本も観光客が増えてきて国際化してきていますが、外食産業の健康志向度をアップさせて欲しいところです。完全禁煙に加えて、トランス脂肪酸の使用の禁止を実現して欲しいですね。

オメガ3脂肪酸を摂る

オメガ3脂肪酸に含まれる脂肪酸は必須脂肪酸の一種です。代表選手には、エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸などがあります。必須脂肪酸は人の体内で合成されないため、体外から摂取する必要があります。オメガ3脂肪酸には健康に良い効果があります。悪玉コレステロールを下げます中性脂肪も下げます

魚の油やオールナッツカノラオイルにはオメガ3脂肪酸が多く含まれています。魚では、サーモンやマグロに特に多く含まれています。エスキモー最大の民族であるイヌイットには動脈硬化性疾患があまりみられません

その理由は、アザラシやシロクマの肉をよく食べているためとのことです。アザラシやシロクマは魚を食べて生きています。そのアザラシやシロクマを食べているイヌイットの人々は間接的にオメガ3脂肪酸をたくさん食べているのです。

エイコサペンタエン酸やドコサヘキサエン酸を多く含むが以前ブームになったことがありました。脳の発達に効果がある、そして認知症の予防に良い、という触れ込みでした。確かに神経細胞の発達には脂肪酸が必要です。しかしながら、そういう卵を食べて頭が良くなるというエビデンスはまだありません

オメガ3脂肪酸を多く含む製剤も開発されており、処方箋を出してもらうことでそれを内服することができます。しかしながら、臨床研究ではそれほどドラマチックな効果を示してはおりません。自然界に存在する栄養素を摂ることが重要と思います。

イヌイットの人々には動脈硬化が少ないですが、脳出血が多いということがわかっています。塩分摂取量が多いことが関係していますが、オメガ3脂肪酸は万能栄養素ではありません。動脈硬化と出血は病態として対照的な特徴も持っています。オメガ3脂肪酸を自然界の食品から適度に摂ることが重要と思います。

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