なぜ子供たちはストレスを溜め込みながらSNSに依存し続けるのか

 

近年は、子どもたちが煩わされている、人間関係上のトラブルの一番の原因は、SNSの問題です。スマホ使用は、小学生で40%前後、中学生でほぼ60%、高校生でほぼ100%となっています。そのため小中高では講習会や啓発教育が行われています。スマホトラブルや犯罪に巻き込まれないためには大切な教育ですが、子どもたちの肝心の悩みには応えられていません。

よりよい人間関係を築くためには、適度な距離感を保つことが重要です。そのために知っておくべき前提条件は、「パソコンやスマホなど便利な道具で時間が短縮されても、それを利用する人との心の距離感は決して同じように短縮されるものではない」ということです。これを子どもたちに知らせなくてはなりません。つまり、現在は「すぐに返事をくれる子が親友、くれない子はそうでない」、という考え方を持つ子が多いので、このような考え方は、人間関係を考える上で、かえって関係性を狭くする考え方だと教えなくてはなりません。

子どもたちの悩みの中心は「感情的な問題」です。感情のもつれによるストレスです。ひと昔前の世界とは異なり、「すぐに結果が欲しい」、「すぐに伝わったかどうか知りたい」、しかも「自分の思うとおりに伝わったかどうか知りたい」、という欲求に起因するストレスです。それは、「既読スルー」という言葉で表現されるように、「読んだのならどうして返事をしてくれないの」というように、相手をしばってしまうこともあります。

「いつの間に私のグループは他のグループに移ってしまい、自分だけ、はば(仲間外れ)にされているの?」「あれだけのことをラインで言ったのに、学校で顔を合わせても何も言わないのはどうして…」というように、本来なら、当然、言葉のキャッチボールで説明しなくてはならないことが、SNSでは「空気が読めない」という一言で済まされてしまうことがままあります。

これでは、子どもは、感情の受け止め方、感情の表し方を学ぶ機会もなく、どうやって考えたらいいかもわからず、結局、感情のコントロールができなくなるのも当然と言えます。

しかも、昔と違い、父母も共働きしていますから、強いストレスを感じたときに、父母も大人も子どものそばにはいないのです。

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