なぜ、年金の受給額はなかなか上がらないのか? 給付金の歴史を追う

 

さて、なんで抑制する必要があるかというと、年金受給者の支え手は現役世代ですよね。そのまま年金給付を抑制しない形のまま、年金受給者は増え続け、少子化も止まらないので、現役世代から取る保険料負担があまりに過大なものになっちゃうんですよ。

だから、昭和48年の時に最低でも夫婦で合わせた年金で現役の頃の男子の平均給与の60%台は支給するという考え方で、その上で取る保険料を決めるというやり方から平成16年改正でもう厚生年金保険料は平成29年9月で上限18.3%、国民年金保険料も平成29年度で1万6,900円×保険料改定率(←保険料改定率っていうのは物価や賃金の変動を反映させる)で上限固定して、その財源の中で年金を支給しようって方向に変えたんです。

※参考

平成29年度国民年金保険料は1万6,490円ですが、この額は国民年金保険料上限1万6,900円に前年度(平成28年度)改定率0.976と、前年度(平成28年度)物価変動率1.008と前年度(平成28年度)実質賃金変動率0.992をかけたもの。物価変動率×実質賃金変動率を名目賃金変動率ともいう。保険料改定率=前年度改定率×名目賃金変動率という内訳。

16,900円×(0.976×1.008×0.992→保険料改定率0.976)=16,494円≒16,490円(10円未満四捨五入)

ちなみに、平成29年度発表(毎年1月末に厚生労働省が発表する)の物価変動率は0.999で実質賃金変動率は0.992になったので、平成30年度国民年金保険料は

16,900円×前年度保険料改定率0.976×物価変動率0.999×実質賃金変動率0.992=16,900円×保険料改定率0.967=16,342円≒16,340円

に下がる。

平成31年度からは1万6,900円が、1万7,000円になる(国民年金保険料にも産前産後免除を導入するため)。

上限を設定しなければ、厚生年金保険料はピークの平成37年には34%、国民年金保険料は2万9,500円になる見通しだった。よって、経済が成長しないし、少子高齢化は進むし、仮に年金を上げようとしたら現役世代からたくさん保険料をぶん取らなければならなくなるから、負担可能な上限を決めてその中で年金をやりくりする事になった。

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