「驚き」がないiPhone Xをバカ売れさせた、アップルの巧みな戦略

 

成長企業はiPhone Xのマーケティングに何を学ぶか?

今回も、華々しくデビューしたiPhoneの新バージョンですが、経営資源に制限がある中小企業や、スターットアップの会社は、広告宣伝費が必要なTVCMや、大々的なキャンペーンを打つわけにはいきません。

ここで重要なことは、そのまま真似しないこと。iPhone Xの戦略のエッセンスを参考に、自社のビジネスに当てはめてみるといいでしょう。

今号では、ターゲット選定の考え方と顧客コミュニケーションについて、考えていきます。

まず、ターゲット選定に関して、参考にしたいところは、年齢、性別、地域といった、目に見える物理的なセグメンテーションよりも、価値観などの心理的要素や顧客層がどう動くかという行動的な要素の方が、新製品の初期段階での購入に影響します。

この心理的・行動的な要素である、「消費者インサイト」を正確に見極めるには、どうしたらいいか、を考え、ターゲット層を想定していくといきます。また、新製品導入の初期においては、まずは買ってくれるイノベーターを狙う、というよりも、「買おうかどうしようか」迷うアーリーアダプターと、彼らとメディアの様子を見て、購買を決定する、アーリーマジョリティーが「どれだけ」買ってくれるか、に焦点を置くべきでしょう。

アップルは、初期購入者の心をくすぐること、また、彼らの購入動機を盛り上げていくことに長けていますので、あなたも、自社の製品が響く想定ターゲットのインサイト(=本音)を探り、彼らがどんな表現を好むのか、どこで何をしているのか、を推測し、コミュニケーションを組み立てます。

情報を小出しにして、徐々に公開をしていく、ティーザープロモーションも参考になります。

あなたが、カフェチェーンのオーナーで、冬の新メニューを出すとしたら、秋ぐらいから、「新メニューを11月から開始」「栗を使った新感覚のスイーツ」などと、メニューに添える、DMで出す、LINEで伝える、といった具合です。

チラシ1枚、ランディングページといった、1媒体のみで購買を促す、「ダイレクトレスポンスマーケティング」という手法が一時期流行しましたが、消費者は、すぐに購買を決定することはありません。主要媒体や、購買接点にたどり着くまでに、期待感を醸成し購買確率を上げていくのが、このティーザープロモーションです。

あなたのビジネスに当てはめて、考えてみてください。

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