日本は怯えている。好景気の米国に漂う「1989年」の既視感に

 

日本の金融経済政策は

日本の金融経済政策は米国より偏っている。労働人口が減少しているのに、単純な移民を行わないし、高級人材の流入を促進するために世界標準的な雇用・相続制度に見直さないので、海外からの人材流入も少ない。しかし、私は世界標準の雇用・相続制度がよいとは思わないので、高級人材の流入策を推奨しない

このため、人口減少になり消費が減り物価が上昇しないので、量的緩和を景気が良くても行い、金利ゼロ状態で国債を大量発行しても国債費が上昇しないことで、財政支出も減らして財政均衡化をしないというアクロバット的金融財政政策を行うことになる。

景気が良くても金融緩和量的緩和を行うことで、財政政策もタガがゆるみ、景気後退局面での金融政策の自由性は大きく失われていることを考量していない。しかし、日銀が今の局面で量的緩和を止めると急な金利上昇と円高になり、外需で企業は儲けているので、利益が減り景気が後退する危険がある。

また、金利が上昇すると国債費が極端に上昇して、1000兆円の金利ゼロでは、いくら多額でも金利ゼロであるので、国家予算での金利支払いの国債費もゼロであるが、1%になると10兆円、2%で20兆円、3%で30兆円になり、財政赤字が雪だるまのように膨れ上がり国家予算が破綻する可能性があるので、日銀も独断で量的緩和を縮小できなくなっている。

要するに、米国も日本も金融財政政策が「いびつ」であり、景気後退時のことを考慮していないことになっている。

景気後退時の日本は

米国のダウ株価を見ていると、危険な兆候が出ている。1989年の時と同じような上昇曲線になってきたことで、株式市場のクライマックスを予感できるようになっている。大衆が株式市場に来たら終わりであるというジンクスが実現している。

このままでは、グレイト・リセッションになるはずである。米国発の次の大恐慌になり、米国はトランプ大統領で世界の指導者ではなくなったが、経済の中心でもなくなる感じがしている。

そして、米国の大恐慌は日本にも大きな影響を与えることになる。

日本企業は、外需で利益を上げている。その外需の利益が大幅減少することで、日本企業の株価も大幅な見直しを受けると同時に、景気後局面で円高になり、輸出も伸びないことになる。税収も減り、国家予算を維持するためにも国債の発行量を増加させていくことになる。しかし、バーゼル3の影響で銀行は国債を買えない。このため、この国債を直接か間接に日銀が買うことになる。

日銀は、量的緩和の拡大したいが、日本国債のほとんどを買っているので、国が売る国債を買うしかなく、国債ゼロ金利は維持できるが景気対策ではなく、現状維持しかできない。円の通貨量は増加するので円安になるはずが、ドルより円の方が安定通貨であるので、世界的な景気後退局面でも円高になる。しかし、景気後退でも人材不足などでインフレが起き、スタグフレーションになる。

金利はゼロのまま、景気拡大策はないことになる。世界的な景気上昇を待つしかない。景気対策がないので、そのうちに石油などの資源が上昇して貿易赤字になり円安になり、より高いインフレが起きてくることになる。

そして、このままではゆでかえる化しかない。徐々に日本の国力は下がっていくことになる。国民は貧乏になる。

日本国民は危機の備えて貯金をするアリであるが、国家が借金をするキリギリスで、景気後退局面を考慮しなくなったことで、日本国民も景気後退時は苦難に陥ることになる。

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