コインチェックは460億円をどこから取り出し、支払うつもりなのか

 

疑問に戻ります。

580億円が460億円になったのは「時価」の基準の違いです。580億円とは被害にあった当時のレート。対して460億円とは、コインチェック社が独自に定めた日時、たしか被害発覚の翌日のある時間から算出した「時価」。

つまり一日前後の間に2割もの時価が減った計算になります。これが現在の「仮想通貨」の状況で、昨年は「ビットコイン」が一日で半額近くに下落したという騒動もありました。

ちなみに、その後、今回被害にあった「NEM」は値を戻しているので、お客のなかには、補填額が少ないという不満もあり、さらには「日本円ではなくNEMで返せ」という声もあります。

さて、ここにマスコミが報じない仮想通貨の根本的な欠陥が見つかります。

一日で半分になる通貨は使えない」。

例えばパン屋さんが、千円の代金を仮想通貨「ミヤー(仮)」で受け取ったとします。その時、千円=100ミヤーが、夕方には千円=200ミヤーになっていれば、受け取った代金は日本円にして半額ということです。

パン屋が小麦粉やバター、卵などの仕入れを「日本円」で行っていれば、売り上げから可能となる仕入れはその半額です。

もっと簡単にいえば、受け取った千円札が相場の変動で五百円玉に化けてしまう、それが現在の「仮想通貨」ということです。

ところがマスコミは「通貨」としての説明を試みます。しかし、この「欠陥には触れません。まるで「広告主」に配慮しているかのよう…あ、いつものことですね。

とても通貨として使えない。これが現実です。

仮想通貨を批判すると、その中核技術である「ブロックチェーン」を引き合いに「新しい技術をDisるな」的な批判の声があがるのですが、社会は技術のためにあるのではなく、社会をより良くするために技術はあり、社会に資さない技術はマニアのなぐさみものに過ぎません

そして4年前にすでに起きていることです。

盗んだ犯人が悪いとは言え、今の「仮想通貨バブル」とは、この4年間に目をつぶっていたかのような金融庁、政治、業者、そしてマスコミによる政官財・マスコミによるコングロマリット社会騒動だということです。

そもそも論で言えば、世界、とりわけEUは「仮想通貨規制」に舵を切っており、野放図に推奨している国は日本を筆頭に限られています。

日本が仮想通貨マンセーを続けた理由は、仮想通貨そのものではなく「金の見える化」にあります。

先進国の中で突出した現金使用率を誇る我が国。治安が良くて偽札がなく、また多くの国民が「お釣り」を暗算できることから、いまだに現金が多く使われております。

すると政府(官僚)から見て「補足不能」な資金が生まれてしまいます。これを撲滅することで、すべての金の流れを抑えることで「税収をより確かなものとしさらには滞留している資金を炙り出しそこに課税するという狙いがあります。フィンテックの啓発もこの流れにあります。

電子化は社会の必然ではありますが、仮想通貨に至っては勇み足。賭場にお墨付きを与えたようなものですから。

金融庁はそれをよく理解しているから、コインチェック社の騒動を受けて、仮想通貨取引運営会社のすべてに立ち入り検査をすると発表したのです。

それが健全な業界・業種ならば、問題を起こした会社だけの話のはずが、そうでないから検査に入り、「監視しています」と慌ててアリバイを作っているのです。

仮想通貨取引運営会社は、新時代の貨幣を造る!等々、それぞれの使命感に燃えてやっていることでしょう。

しかし、それが一般常識に照らしたときに「賭場」ならば、相応の規制なり、消費者への警告や啓発をするなり、義務づけするなりが必要でしょうが、金融庁はここが手薄だったのです。

本来ならば金融庁=政府の失態ともいえ、「野党」にとっては美味しい攻撃材料…ながら、「モリカケスパ」と国会で念仏を唱えています。無能な野党こそが、安倍政権の最大の支援者といって良いでしょう。

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