深田GL 「そうですね。他には、
1.定年退職
2.雇用契約満了
3.本人の死亡
4.休職期間満了
5.無断欠勤(音信不通)が続いた場合
などがありますね」
T社社長 「定年退職以外にもいろいろあるんだね」
深田GL 「一般的に当然の出来事として退職となるようなケースが自然退職となります。退職届がいらない、通知が要らないといってもこれらについての定めをしっかりと就業規則・雇用契約書などに記載したり、ルールを労働者へ周知しておかないと、やはりトラブルになりますね」
T社社長 「そっかー、やっぱりルールをつくって、就業規則などに記載しておかないといけないってことだね。就業規則に記載する項目は他にもあるの?」
深田GL 「就業規則にどこまで書くかにもよりますね。たとえば
・定年年齢
・定年退職日
・継続雇用制度
・再雇用制度の対象者
・退職の種類
・退職願
・行方不明者の退職
・自己都合退職
・休職期間満了
・解雇の種類
・解雇が有効になるための条件
・普通解雇
・期間雇用者の契約期間満了による退職
・懲戒解雇
・業務引継
たくさんありますが、こういったことにも触れておかないといけませんね」
T社社長「休職の場合も自然退職にすれば良いんだね」
深田GL 「そうですね。本来、従業員は労働契約に基づき労働を会社に提供する義務があります。その労働を提供することが出来なくなり、会社に休職期間という一定期間の猶予をもらったにも係らず、労働を提供出来ないので、『自己都合退職』扱いが妥当と考えます。しかし、従業員側からみると、休職期間満了による退職は、自己都合とは違いますから、むしろ解雇だと思う人もいるでしょう。実際、解雇という表現を使っている就業規則に出会ったこともあります。トラブルを避けるために『自然退職』という言葉を使うのがおすすめですね」
T社社長 「ふーーん、そういうものなんだね。その『自然』っていう二文字がものを言うようで、いろいろ考えさせられるなぁ」
深田GL 「ハローワークに提出する離職票の離職理由としては、『休職期間が満了による自然退職』と書けばいいでしょう。トラブルにならないためには、会社側で休職命令通知や休職期間満了通知をタイミング良く渡しておくのが良いですね」
T社社長「うつになる人も多いと聞くから、ルールはしっかり決めないといけないなぁ」
深田GL 「それから、無断欠勤が続いたり、行方不明の人についても自然退職の規定は有効ですね。この場合、規定を入れておかないと、裁判所への公示送達が必要になります」
T社社長 「裁判所への公示送達って? あの、裁判所に貼り出している書類のことですか?」
深田GL 「そうです」
T社社長 「ひぇ~、あんな手続きをしないといけないなんて大変だよ」
深田GL 「『自然退職とは、会社側の意思表示、従業員の意思表示がなくても、就業規則所定の事由を満たせば、労働契約が終了する扱い』です。上手に利用すると良いですね」