なぜ「ロハコ」は、他店より高価格でも売れ行き好調なのか?

 

私たちはロハコから何を学ぶべきか

アマゾンの台頭や新しいサイトが続々登場する中で、小売業を取り巻く環境は一層厳しくなっている。

中でも、価格競争は避けて通れないという状況になりがちだ。

しかし、このロハコにおいては現段階では上々の滑り出しを見せている。

私たちはロハコに何を学ぶべきなのだろうか。

まず、ターゲット層を明確にすること。

その際に、年齢や性別といった旧来の考え方にとらわれず、ターゲット層が何を欲しがっているのか、という彼ら・彼女らの「価値観を軸に想定をしていくべきだろう。

次に重要なことは、顧客が欲しいものは何か?を今一度考え直してみることだろう。

先述のリセッシュのケースで考えてみると、ターゲット層は20〜40歳代の女性の中でも、価格ではなく心地よさを大事にする人となる。

また、欲しいのは「匂いを取る」という機能的な側面だけでなく、さらに「部屋に置いておいてもいい気持ちになれる」「タンスの中でも自己主張しない」といったデザイン性が合わさり、ブランドマネジメントでいうところの、顧客が感じる自分との関連性アソシエーションが強まり、数多くある消臭剤の中から、選ばれるブランドになるのだ。

では、このような発想が出てくるにはどうすれば良いのだろうか?

ターゲット層を考える際に、年齢や性別、職業といった属性的なところで分けることは、過去のデータなどで規定していくことができる。

しかし、顧客が欲しい付加価値は何か?ということは目に見えないし、顧客も自分では分かっていない顕在化していない欲求になるため、リサーチなどで聞いてみても、出てくるものではない。

このような潜在的なニーズを発見するには、顧客観察をして仮説を立て検証してみる、というステップを踏む方法がある。

あなたがカフェのオーナーで、アラサーOL向けのスイーツを開発したいとする。

彼女たちに「どんなメニューが欲しいですか?」と聞くのではなく、まずは、「いちごには飽きているはずなので、色鮮やかで、これまでにあまり使われていないオレンジが受けそう」と仮説を立ててみる。

次に、「試食会」など催して実際に食べてみてもらい、その様子を観察することで検証する。

観察している中で、自分の仮説が正しかったかどうかということに加えて、想定外のこと、例えば、「酸っぱいのが生クリームにぴったりで、意外と美味しいよね」などという、「自然に会話の中に出てくるちょっとしたコメントをヒントにする。

これこそが、ユーザーの本音なのだ。

中には、顧客観察ができない業態の場合もある。

私もEコマースのマーケティングマネージャー時代に、深夜に若年層が購入する際の行動を知りたかったのだが、「ちょっと買っている様子を見せてください」と言って、深夜にお邪魔することもできない。

このような場合は、顧客の疑似体験をすることで、顧客観察の代替とすれば良い。

上記の例で言えば、3人くらいで手分けして、顧客になったつもりで同じ日時に同じ商品を自社と競合他社のサイトで購入してみる。

そして翌日、その顧客体験を共有する。

「私はアマゾンで買ってみたけど、さすがアマゾン、買いやすさが抜群だね」

「楽天市場のこの店では、見つけにくいけど、そのあとのポイントがなかなかいいですよね」

などといった具合だ。

これで、顧客観察と似通った効果を得ることができる。

いずれにしても、顧客が何を考えているのか、本当に欲しいものは何か、あなたが売りたいものとの「ギャップ」は何か?を常に自問自答することで、答えが見えてくる。

image by: LOHACO アプリ公式(Google Play)

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