差別的アダ名、水をかける「いじめ」の主導者が保護者だった衝撃

 

相談から調査

この状況を遅れて知ったA君の母親は、学校で事情を聞くことになるが、自分の不甲斐なさに泣いてしまったそうだ。また、学校としては手詰まりで、完全な解消は難しいと判断していた。

私が相談を受けた際、母親自体は又聞きが多いことから、私は長男であるA君から直接話を聞きたいと希望した。A君は面倒くさそうにしていたが、様々なことを記憶しており、一回の面談で多くの情報を得ることができた。

この件においては、差別屋に成り果てた母親らが関与しているものと想定して、巻き込み型の調査を実施することにした。

巻き込み型調査は、通常の聞き取りの際に作り上げる情報提供者をより多く作り一定の情報も同時に流して行くという手法で、私がこうした件に関わるようになってから試行錯誤して作り上げた独自の手法である。

特にA君は面倒見がよく、同じ学年で彼に味方する親子も多かったことから、この手法を採用しやすい環境でもあった。

また、本件では、いじめの種を母親らが蒔いていると想定できるため、その根を狩る必要があるが、一般にママ友のネットワークはグループごとに形成されており、ある種の分断と関節がある。これをうまく利用し、根を断つにはこちらが意図する情報をうまく流すことが重要になってくる。

私は協力的な小6の保護者と同級生に状況をわかりやすく説明して、周りの接点ある小4小2の保護者らから情報を集めて欲しいとお願いした。

また、「ナマポ」や「貧乏兄弟」などという差別的言葉を投げかけている者の特定や証言を求めた。

こうした情報収集対策をして歩くと、一部の保護者や学生がにわか探偵になってくれるという現象が少なからず起きる。

そして、情報提供者や調査協力者はリレーションしやすく、一定数を超えると、「いじめをする奴は最低だ」という機運が生じる。

いじめの構造においては、加害者3~5人、囃し立てが加害者と同数かそれ以上、被害者は1人、他はほぼ傍観者となるが、傍観者が無意識に加害者を支持しているといじめは常態化し蔓延するというのが常識だ。つまり、傍観者の意識がどちらに向くかがクラスの空気であると判断できるが、これは「小社会で起きるトラブル構造にも応用できる

つまり、多くの傍観者が情報提供もしくは調査協力者となった時点で、「いじめNO」の立場をその内実表明していることになり、第三者である私に表明した「いじめNO」の立場を自ら強化し、正当化しようとする。そして、これを共有する者を増やして行くようにお願いして周ることで、小社会における正義となる。

特に意見力のある母親らが調査協力者になることは重要で、子供らへの影響が起きやすい。

意見力が強い存在は、その時の空気(雰囲気)を読む力があるから、一定の風が生じてくれば進んで賛同してくれる場合が多い。つまり、私は、調査というより実際は、説得と説明をして周っている。それは情報をくださいとか、協力してくださいということが主題だが、結果得られた情報が報告書に反映されることになり、得て行く支持が解消の糸口となる。

そのため、私はある程度の発破かけと情報の修正、行き過ぎた状況にならないように注視することを主にして、情報の整理とどこで落とし所をつけるかを判断をすることになる。

本件においては、鉛筆を集めた母親らの中心人物が、A君の抗議が気に入らなかったことから発生したことであり、一緒に鉛筆を集めたという母親らがこれを証言した。

一方、噂に乗っかり、十分それで暇潰しをした父兄もいたが、調査が進むうちに「いじめはダメだ」ということになって、小4の妹への水掛けは一切起きなくなった。水をかけた児童は、鉛筆事件の中心人物に近い存在の息子であったが、この子は直接自ら謝罪をした。

小2の弟はまだ小2自体がいじめ意識が低く、差別的な言葉の投げかけをやっている方は遊びの感覚が強かった。通常、教員が根気強く、そして強く注意して修正させていけば収まりそうなものだが、調査対策が進むうちに収まり、元々の友人らとの関係性はいじめ発生前と同じように回復した。

証言が多く進む中、加害の中心となった母親は外に出れない状況になっていった。

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