さあ、そこで文化の違いが鍵になってくるわけです。
まず、オーストラリア人だったら、仕事が多すぎて、年俸と見合わなくなったらさっさと辞めて転職してしまいます。年俸が高くなると、労働法で保護される度合いも少なくなって、会社都合で解雇されても不当解雇で訴える権利を失ってしまいます。その年俸額は労働法で規定されていて、毎年変わります。社員の首を切るために、わざと賃上げをする雇用主もいるぐらいです。だから、社員の方も、常により条件の良い仕事を探していて、見つかればさっさと移ります。1年もすると、周囲の顔ぶれがガラッと変わっているなんてことも珍しくありません。
なので、雇用者側も、社員をあまり追い詰めるといつ辞められるかわからない、というリスクを常に抱えることになり、ブレーキとなります。社員の側も、過労死するまで働こうなんて考えません。長期休暇もバンバン取ります。とってもドライな世界なのです。
これ、日本ではどうでしょうか?
20数年ぶりに日本に帰ってきて、びっくりしたことがあります。
20代や30代の若い人たちが、理不尽な労働環境下でやせ我慢して働いているのです。どうやら、長く続いた就職氷河期の影響らしい。彼らは耐えるだけで、雇用主と交渉する気力も能力もありません。なんだか日本が貧しい国に見えてしまいました。
高プロの対象はハイスキルの高所得者だとしても、オーストラリアみたいにドライにいけるかどうか。
反則タックルをした日本大学アメフト部の選手みたいな奴隷状態にならなければいいが、と心配になってしまいます。今は空前の売り手市場だそうですが、日本ではどんなに景気がいい時代でも過労死が社会問題でした。
シドニーに取材に訪れたKAZUYA(@kazuyahkd)君たちが開口一番言ったこと。
「なんか、みんな楽しそうだよね?」
それが文化の違いというものです。