高プロ制度にも、労働者の権利と健康を守るためのルールはあります。年間104日以上、かつ、4週間で4日以上の休日を与えること。これは単なる週休二日の実施ですね。
さらに、健康確保措置として以下があります。
- 勤務間インターバル制度と深夜労働の回数制限制度の導入
- 労働時間を1ヵ月又は3ヵ月の期間で一定時間内とする
- 1年に1回以上継続した2週間の休日を与える
- 時間外労働が80時間を超えたら健康診断を実施する
まあ、妥当な気がしますが、驚いたのは、このうちのひとつだけ採用すればよいとのこと。はっきり言って、それでは全然駄目です。思い出してください。日本は、景気が良かろうと悪かろうと過労死が社会問題になるような国なのです。上記の4項目、ぜーんぶ義務にしなきゃ駄目です。そうしても問題ないはずです。
企業にとっても、過労死させて社会的制裁を受けるよりもずっといいです。
そしてさらにもうひとつ、加えたいものがあります。管理職に研修を義務付けるのです。
日大アメフト部の監督やコーチのように社員をむやみに追い詰めるのではなく、人間として尊重して、常に明るく前向きな気持ちで働かせ、生産性を極大化するのがマネージメントの仕事です。それがわかっていない日本人の管理職、まだまだ多くないですか? これからは創造性こそが重要な時代ですよ。
これ、法律とかポリシーというより、道徳の世界に近いかもしれません。
曖昧だと批判する人も居るかもしれません。でも、日本人は欧米人のようにドライになれないんです。日本人が世界で尊敬される理由は合理性や論理性ではありません。高い道徳性です。だから、日本的経営というのは、道徳的価値観を大事にしなくては駄目だし、それを強みと理解して活用すれば日本は復活する、というのが長年海外で働いた私の意見です。
この点については、今後継続的に取り上げて考察して行きたいと思います。
高プロ制度を支持する方も少なからずいらっしゃいます。前述の通り、世界では珍しくありません。だから、導入すること自体には反対しませんが、<前記4項目プラス1の実施>を条件とすることを提案します。
でも、竹中平蔵さんには反対されるかも!?
山岡鉄秀 Twitter:https://twitter.com/jcn92977110
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