長生きするほど得になる話題の「トンチン年金」は日本人に向いてるか

 

しかし、老後のお金を預貯金で賄おうと思えば、かなり不安なことになります。なぜかというと、老後生活というのは、何年続くかわからないからです。65歳から老後生活に入るとして、数年で終わるかもしれないし、30年以上続くかもしれません。つまり、老後生活にいくらかかるかは、個人差がありすぎてまったく一概には言えないのです。

貯金で老後資金を用意しようということになると、やはり老後の期間を長めに設定しなければまずいことになります。平均寿命になれば、皆、死ぬのなら、平均寿命までの生活費を用意していればいいでしょう。しかし、人の寿命というのは、そういうものではありません。平均寿命で死ぬのは、全体の半分の人です。残りの半分の人は平均寿命よりも長く生きるのです。つまり、平均寿命よりも長く生きる可能性が50%もあるのです。

だから、老後の資金を貯金で賄おうと思えば、相当な年数分を用意しなければなりません。100歳までの生活費を用意していても、もしかしたら足らないかもしれないのです。20年分しか用意していない場合は、それ以上、長生きすれば、たちまち貯金が底をつくことになるからです。だから、貯金で老後生活を賄おうと思えば、だいたい30年分は準備しておかなくてはならなくなります。

しかも、長生きすればするほど自分の生活費の残高が減っていくというのは、精神衛生上、非常に良くないといえるでしょう。つまりは、貯金で老後を賄うというのは非常に大変なのです。

かといって、普通の年金でそれを賄うのも大変です。現在の厚生年金の平均支給額は15万円程度です。これは生活保護の生活レベルとほとんど変わりません。都心部に夫婦で暮らしているような場合は、生活保護レベル以下だといえます。

年金は、公的年金のほかにも、民間の年金があります。これを使って年金を拡充するということもできます。が、民間の年金の場合は、公的年金ほど充実していません。というより、民間の年金は、「年金というより積立金なので、自分が積み立てた金額に若干の利子がついて戻ってくるだけです。

そんななかで、トンチン年金の存在意義は大きいと思われるのです。トンチン年金は、民間の年金です。が、少ない掛け金でけっこうな年金を受給することができます。普通の民間年金よりも、かなり効率的に年金額を増やせるのです。

もちろん、トンチン年金は、早く死ねば「捨てる部分」が大きくなります。平均的な掛け金と平均的な受給額を比べると、掛け金の方が大きくなる場合が多いのです。つまり「長生きしなければ損をする」という仕組みになっています。

が、前にも触れましたように、年金でもっとも大事なのは、「死ぬまで一定の金額がもらえる」ということです。この安心感は、「実際にもらえる金額」以上に価値があるものだといえるのではないでしょうか?これを「長生きしたときの保険」と考えればいいわけです。

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