かといって、「売るならできるだけ早く」といっても、多額のローンを抱えて、そこで子育てしながら暮らしを始めた人たちは、そう簡単はマンションを売ることはできないのです。子供が保育園や小学校に通い始めていれば、簡単に引っ越しはできません。投資用に持っている人が一斉に売り出したら、価格崩壊はアッという間に進みます。同じ地域に、これだけ多くの「箱」があるのですから、マンションを生活の場としている所有者は、間違いなく売り遅れるでしょう。
売り物件が多過ぎて価格が暴落すると、オーバーローンになって売るに売れません。何だか、今の空気は、バブル崩壊の直前に蔓延していた不安感に似たものを感じます。暗い話のようですが、不動産というのは何度もそういう波を乗り越えてきているのです。
一旦価格が下がることが、住んでいる人にとっては、ここが自分の住まいだと覚悟を決めることに繋がり、また、投資目的だった物件が買いやすい価格で市場に出ることで、居住目的のファミリー層が増え、落ち着いた管理組合運営ができるようになることもあります。そこから、本当の意味で、マンションの管理、運営の質が問われる時代が始まるのかもしれません。
何だか、歴史は繰り返すな…と思いながら、今のタワマンは、限りなく40年前の団地に近いなと改めて感じています。
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