血税4千億で陸自の「自分探しの旅」につき合わされる日本の不幸

 

時代の流れに逆らう3要因

こうした馬鹿げたことがまかり通りつつある原因としては次の3つが挙げられる。そこから見えるのは、陸自自体がすでに時代との関係で存在理由を見失っていて、それを、中国や北朝鮮の脅威を誇大に描くことで無理矢理に新任務やそれに必要な新兵器を手に入れようとして足掻く姿である。

第1に「冷戦後遺症」である。

そもそも、全世界的にはとっくの昔に冷戦が終わり、そうは言っても東アジア・日本周辺では北方4島・竹島・尖閣など直接的な領土紛争に加えて北朝鮮のミサイル開発や中国の南シナ海進出など剣呑な動きもあるというグレー・ゾーンにあって、日本は一体どちらを向いて生きるのかという問題がある。

仮に、世界はどうであれ日本周辺では冷戦は終わらないどころか、熱戦が起きる危険が増大しているという判断に立つなら、自衛隊の増強は必要ということになるのかもしれない。しかし「戦争か対話か」のグレーな諸問題を外交の力に頼って解決して行くことは可能だという覚悟を決めるなら、軍拡は無駄であるどころか有害だということになる。

その大前提を議論することを避けて、冷戦時代と同じように「北朝鮮は怖い」「中国は危ない」という危機感を煽り「我が国をめぐる安全保障環境はますます厳しくなっていると呪文のように言い続けているのが安倍政権である。安倍首相は秋田県知事の「米朝首脳会談がうまく行けば前提が崩れる」という判断に賛成なのか反対なのか、きちんと答えるべきである。

第2に「拝米劣等感」である。

米国で冷戦が終わらないでいてほしいと願う筆頭は軍産複合体であり、その支援を受けた上下両院議員であり、その手先となって日本などへの兵器輸出で利権を得ているリチャード・アーミテージやマイケル・グリーンなどの「対日安保マフィア」である。彼らの言いなりになっているのが外務省の主流をなす親米派であり、祖父=岸信介の屈折した拝米思考をそのまま受け継いでいる安倍首相自身である。

今時、F35戦闘機やイージス・システムやオスプレイなど超高額な米製新兵器を向こうの言い値で次々に買うなど反国益的行為だが、安倍首相はそうしないと米国は日本を守ってくれないと怯えている。

第3に「陸自の生き残り策」である。

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