アメリカ大誤算。イラン制裁で進む米離れに雀躍の中ロ両首脳

 

アメリカ、イラン関係の推移(2010年代)

2010年代になると、アメリカで、非常に大きな変化が起こりました。それが「シェール革命」。これで、アメリカは、「2016年に石油が枯渇する」などと心配する必要がなくなったそれどころか、今では世界一の産油国産ガス国になった。トランプの重要ミッションの1つは、「アメリカ産シェールガスの輸出先を探すこと」なのです。シェール革命で何が変わったか?アメリカにとって中東の重要度が下がった。それで、アメリカとイスラエル、サウジアラビアの関係がとても悪くなった。

2015年3月、歴史的「AIIB事件」が起こります。イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、スイス、イスラエル、オーストラリア、韓国など、「親米諸国群」がアメリカの制止を無視し、中国が主導する「AIIB」への参加を決めた。これでオバマは、「中国打倒を決意します。彼は、中国を打倒するために、他の諸問題を解決することにした。

オバマは、ロシアとプチ和解。ウクライナ内戦、シリア内戦は沈静化させ、2015年7月、「イラン核合意」が成立した。参加したのは、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、ロシア、中国、イランでした。

アメリカ、イラン関係の推移(トランプ時代)

ここまでの流れを整理すると

  • ブッシュ(子)時代、自国の石油枯渇を恐れるアメリカは、イラン支配を目指す
  • オバマ時代、シェール革命で世界一の産油、産ガス国になったアメリカは、イランと和解する

となります。ところが、トランプ時代になると、また大きな変化が起こった。トランプは、ネタニヤフ首相の親友で超親イスラエルなのです。そして、イスラエル最大の敵はイランである。それで、2018年5月、トランプはイラン合意からの離脱を宣言しました。この決定は、世界中で「理不尽」ととらえられ、トランプ政権の評判を大いに下げました。というのもイランは核合意を順守しているからです。

「イランは核合意順守」=IAEA
5/9(水)21:40配信

 

【ベルリン時事】国際原子力機関(IAEA)の天野之弥事務局長は9日、米国のイラン核合意離脱表明を受け「現時点では、イランは核開発に関する合意を順守している」との声明を出した。声明は「IAEAは動向を注視している」と説明。その上で「イランは核合意により、世界でも最も強力な監視体制下に置かれている」として、核合意が有効に機能してきたことを強調した。IAEAは定期的に、イランの合意履行状況を査察している。

そして、この合意に参加した他の国々(英国、フランス、ドイツ、中国、ロシア、イラン)も、アメリカの離脱に反対している。「核合意離脱」に賛成しているのは、反イランのイスラエルとサウジアラビアだけです。

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