台湾の映画賞さえ台無しにする、中国・習政権の「言論弾圧」

 

今、習近平の皇帝ぶりに中国人はみな委縮しています。范氷氷の件があったばかりです。有名人だとしても、少しでも目をつけられれば、ショッピングモールでいきなり背後から袋をかぶせられて拉致監禁が待っています。皆が戦々恐々としています。

そのため、政治的な雰囲気になったとたんに映画祭から退散し、自分は関係ないことをアピールするのです。せっかくの映画祭がそんなことで台無しにされてしまっては、素晴らしい作品の数々が正当に評価されないまま、埋もれてしまいます。この騒動を受けて、台湾当局も声明を出しています。以下、引用します。

鄭麗君文化部長(文化相)は19日、「金馬奨は全ての中国語映画製作者を歓迎する」と述べ、中国政府に対し、背後で政治的な力を使うのをやめ、映画製作者を尊重するよう訴えた。

(中略)

鄭部長は19日、立法院(国会)教育・文化委員会開会の前に報道陣の取材に応じた。創作の自由の尊重が金馬奨の精神だと説明した上で、受賞者がステージ上で創作理念を自然に紹介することは感動を与えるものだと言及。中国の映画人の発言について、態度を表明しない自由がなかったり、他の要素があったりするのかもしれないと同情を示しながらも、尊重されていない感覚を台湾人に与えたと遺憾の意を表した。

中国作品の金馬奨参加危ぶむ声 文化相「映画製作者の尊重を」/台湾

蔡英文総統は18日、フェイスブックを更新。「中国台湾」という呼称を受け入れたことはこれまでに一度もなく、これからもないとした上で、「台湾は台湾」だと訴えた。

(中略)

蔡総統は、台湾が中国と異なるのは自由で多元なところだと指摘。立場が異なるという理由で誰かの発言が消されることはないとしつつ、自由な空気を味わうと同時に台湾人の考えも尊重してほしいと呼び掛けた。

台湾の映画賞、中国人俳優「中国台湾」発言が波紋 蔡総統「台湾は台湾」

映画祭の実行委員会主席を務めた世界的に活躍している台湾人監督の李安氏は、閉会後、「台湾は自由であり映画賞は開放的なものだ」「不要な干渉は望まない」とコメントしました。

ことの発端は台湾人監督の不用意な発言でしたが、そのときに、中国政府が介入したわけではありません。中国人俳優が、政府の意向を忖度して中国台湾という発言をしたのです。このことについて、私は彼らにかなり同情します。彼らはそうしなければ生きていけないのです。まさに生か死かの選択です。なにしろ目をつけられれば拉致監禁ですから。

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